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2021 年度 実施状況報告書

急性相蛋白質オロソムコイドによる蛋白尿抑制の分子基盤解明と慢性腎臓病治療への応用

研究課題

研究課題/領域番号 21K19340
研究機関熊本大学

研究代表者

渡邊 博志  熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 准教授 (70398220)

研究分担者 丸山 徹  熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 教授 (90423657)
研究期間 (年度) 2021-07-09 – 2024-03-31
キーワードorosomucoid / AGP / 腎病態
研究実績の概要

近年、新たなCKD進展経路として着目され、持続的炎症を特徴とする急性腎障害 (AKI) to CKD transitionにおける内因性AGPの役割について評価した。野生型 (WT) マウスに腎虚血再灌流 (IR) 処置した結果、内因性AGPは腎IR8時間後から上昇し始め、1~2日後にピークに達し、7日後まで高いAGP濃度を維持した。そこで、WT及びAGP KOに腎IR処置し、1日後の腎病態 (AKI) を評価した結果、AGP KO ではWTと比較して腎機能 (BUN、SCr)、尿細管障害マーカー (Kim-1) 発現、尿細管障害スコアの上昇に加え、IL-6、TNF-alfa発現が上昇した。続いて、腎IR処置14日後 (CKDへの移行) の腎病態を評価した結果、腎機能はWTとAGP KOともに腎IR前の値まで回復したにも関わらず、Kim-1発現、尿細管障害スコア、TNF-alfa、IL-1beta発現はAGP KOにおいて依然として高く、腎IR1日後では変化が認められなかったF4/80発現もAGP KOで有意に上昇した。また、AGP KOにおける腎病態の悪化は腎IR直後~7日後までのヒト由来AGP (hAGP) 投与により抑制された。さらに、WTとAGP KO由来の腹腔マクロファージにLPS炎症刺激を与えた結果、WTと比較しAGP KO由来の細胞において24時間後のTNF-alfa発現が有意に上昇した。マウスマクロファージ様細胞 (RAW 264.7) に対するhAGPの前処置は、その後のLPS刺激によるIL-6、TNF-alfa、IL-1beta発現を有意に抑制した。従って、AKI後に上昇する内因性AGPは、抗炎症作用を介してAKI発症とAKI to CKD transitionに対して抑制的に機能することが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の実験計画に従い、概ね順調に進展していると思われる。

今後の研究の推進方策

AGP KOマウスを解析していく中で、AGPが糖・脂質代謝に影響を及ぼす可能性が示唆された。したがって、今後は腎病態に関わる糖・脂質代謝の関与についても検討を加える予定である。飽食の時代において、糖・脂質代謝と腎病態との関連は興味深く、本内容も推進していく。

次年度使用額が生じた理由

旅費については、学会のWeb開催に伴い交通費・宿泊費が不要となった。また、物品費について当初180万円を予定していたものの、担当大学院生のコロナ感染等実験制限も加わり予定の金額より少ない支出となった。また、実験消耗品等についても、既存のものを優先して代用することができたため。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] alfa1-acid glycoprotein, an acute phase protein, mitigates AKI to CKD progression through its anti-inflammatory action2021

    • 著者名/発表者名
      Watanabe H, Fujimura R, Hiramoto Y, Murata R, Nishida K, Bi J, Imafuku T, Komori H, Maeda H, Tanaka M, Matsushita K, Fukagawa M, Maruyama T
    • 雑誌名

      Sci Rep

      巻: 11 ページ: NA

    • DOI

      10.1038/s41598-021-87217-8

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2022-12-28  

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