研究課題/領域番号 |
21K19352
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
仁田 亮 神戸大学, 医学研究科, 教授 (40345038)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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キーワード | クライオ電子顕微鏡 / 微小管 / クライオ電子線トモグラフィー / 単粒子解析 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、中心体非依存性微小管ネットワークの形成の場を題材に、クライオ電子顕微鏡法による細胞内分子構造解析法の整備を行っている。 まず、COS7細胞を用いて実験系を整備し、以下の行程を一通り確認した。目的タンパク質を蛍光標識した細胞をグリッド上で培養・急速凍結し、クライオ蛍光顕微鏡で標的分子のグリッド上でのマップを作成する。その後、クライオFIB- SEMを用いて標的部位をクライオ条件のまま薄く削り、クライオ電子線トモグラフィー撮影を行う。そして得られた画像を3次元再構成し、得られた3次元構造の解釈は深層学習またはテンプレートマッチングにより自動化する。 HeLa細胞へGFP-tubulinの安定発現株を導入し、微小管ネットワーク形成の時系列のキーフレーム、例えば相分離によるMTOC形成過程や、微小管が放射状に伸びる星状体形成過程の時間軸を共焦点顕微鏡を用いて解析している。今後、クライオ電子線トモグラフィー解析へ持ち込む。 また、三次元構造のテンプレートともなるCAMSAP2微小管複合体の原子レベルの構造を、クライオ電子顕微鏡単粒子解析法で決定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
COS7細胞を用いた実験系の整備は順調に進んでおり、一通りのトモグラフィーデータまで取得し、EMAN2(深層学習)・Amira(テンプレートマッチング)を利用した画像データの自動解釈も設定条件次第でうまくワークすることも確認した。 HeLa細胞へのGFP-tubulinの安定発現株を導入し、共焦点顕微鏡を用いた観察によりタイムフレームを決定している。 クライオ電子顕微鏡単粒子解析法により、CAMSAP2微小管複合体の原子レベルの構造を2.9A分解能で決定した。今後、詳細な構造観察を行っていく。
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今後の研究の推進方策 |
順調に進展しており、このまま目標通りに進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
大阪大学または理研SPring-8センターで行う予定であったクライオ電子顕微鏡実験を、コロナ感染状況による出張自粛により延期し、研究室内での実験に切り替えたため、電顕関連の消耗品や施設使用料を次年度に繰り越して使用することとしたため。
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