本研究課題では、中心体非依存性微小管ネットワークの形成の場を題材に、クライオ電子顕微鏡法による細胞内分子構造解析法の整備を行ってきた。 COS7細胞では、目的タンパク質を蛍光標識した細胞をグリッド上で培養・急速凍結し、クライオ蛍光顕微鏡で標的分子のグリッド上でのマップを作成、その後、細胞の端の薄い部分を狙ってクライオ電子線トモグラフィー撮影を行った。そして得られた画像を3次元再構成し、得られた3次元構造の解釈は深層学習またはテンプレートマッチングにより自動化に成功した。 また、iPS心筋細胞を用いて、核周辺のZ軸方向に5-10μmの厚さのある部分に対し、FIB-SEMを用いた薄切の手技も構築し、クライオ電子線トモグラフィー法のスキームを一通り確立した。現在は、HeLa細胞へGFP-tubulinの安定発現株を導入し、微小管ネットワーク形成の時系列のキーフレーム、特に相分離によるMTOC形成過程や、微小管が放射状に伸びる星状体形成過程の時間軸を決定し、急速凍結試料を作製した。今後、トモグラフィー撮影へと進む予定である。
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