• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実績報告書

オメガ3脂肪酸代謝によるがん幹細胞の再発制御

研究課題

研究課題/領域番号 21K19353
研究機関広島大学

研究代表者

仲 一仁  広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 准教授 (70372688)

研究期間 (年度) 2021-07-09 – 2024-03-31
キーワードオメガ3脂肪酸 / DHA代謝 / CML幹細胞 / Gタンパク質共役受容体 / mTORC1経路
研究実績の概要

慢性骨髄性白血病(CML)幹細胞の未分化性維持に関わるドコサヘキサエン酸 (DHA)代謝の下流の標的遺伝子を探索するため,RNAシークエンスにより正常造血幹細胞とCML幹細胞との間での遺伝子発現の比較解析を行った.その結果,標的候補遺伝子としてGpr82を見出した.そこで,Gpr82のノックアウト(KO)マウスより造血幹細胞を純化してCMLのマウスモデルを構築し,生体内でのCML幹細胞の維持におけるGpr82の役割を解析した.その結果,Gpr82 KOマウス由来のCML幹細胞を移植したマウスは,野生型マウス由来のCML幹細胞を移植したマウスと比較して,生存期間が短縮し,細胞数も減少していることが明らかとなった.従って,Gpr82 KOマウス由来のCML幹細胞は未分化性の維持能力が低下しており,白血病発症能が亢進していることが示唆された.
さらに,CML幹細胞の未分化性維持機構におけるGpr82の役割を明らかにするため,未分化性維持に関わるmTORC1経路の活性を検討した.野生型・Gpr82 KOマウス由来のCML幹細胞に対して,mTORC1の下流の標的分子であるpS6リボソームタンパク質のリン酸化状態を解析した.その結果,野生型CML幹細胞と比較して,Gpr82 KO CML幹細胞ではpS6のリン酸化状態が亢進していることが明らかとなった.従って,Gpr82はCML幹細胞の細胞周期の休眠状態を制御することで,CML幹細胞の未分化性を維持していることが判明した.すなわち,DHAはリゾホスファチジン酸 (LPA)などのセカンドメッセンジャーの産生を亢進させ,下流のGタンパク質共役受容体Gpr82を介して,mTORC1経路の不活化によりCML幹細胞の未分化性維持に関わることが示唆された.

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) 図書 (1件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)

  • [国際共同研究] GILO Institute, GILO Foundation(韓国)

    • 国名
      韓国
    • 外国機関名
      GILO Institute, GILO Foundation
  • [雑誌論文] A novel anticancer quinolone, (R)-WAC-224, has anti-leukemia activities against acute myeloid leukemia.2023

    • 著者名/発表者名
      Mino T, Ureshino H, Ueshima T, Kashimoto N, Yamaguchi T, Naka K, Inaba T, Ichinohe T
    • 雑誌名

      Investigational New Drugs

      巻: 41 ページ: 751, 760

    • DOI

      10.1007/s10637-023-01393-0

    • 査読あり
  • [学会発表] Discovery of a novel activin receptor-like kinases (ALKs) inhibitor targeting TGF-β signaling pathways.2023

    • 著者名/発表者名
      Mai Arai, Mitsuharu Hanada, Hideki Moriyama, Hiroshi Ohmoto, Kazuhito Naka, Masaaki Sawa
    • 学会等名
      American Association for Cancer Research Annual Meeting
  • [学会発表] CML幹細胞の発生機構の解析2023

    • 著者名/発表者名
      仲 一仁
    • 学会等名
      第7回放射線災害・医科学研究拠点カンファランス
  • [学会発表] A novel ALK5 inhibitor, AL2 shows anti-tumor activity by modulating cancer immunity2023

    • 著者名/発表者名
      Masaaki Sawa, Mai Arai, Mitsuharu Hanada, Hideki Moriyama, Hiroshi Ohmoto, Kazuhito Naka
    • 学会等名
      第82回日本癌学会学術総会
  • [図書] 組織培養の技術 第4版2023

    • 著者名/発表者名
      仲 一仁
    • 総ページ数
      3
    • 出版者
      朝倉書店
    • ISBN
      978-4-254-31096-2
  • [産業財産権] New methods for treating symptoms in long COVID2024

    • 発明者名
      仲 一仁, 澤匡明
    • 権利者名
      広島大学, カルナバイオサイエンス株式会社
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      63/549743
    • 外国

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi