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2022 年度 実施状況報告書

揺らぎ仮説の実態解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K19363
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

田中 元雅  国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, チームリーダー (40321781)

研究期間 (年度) 2021-07-09 – 2024-03-31
キーワードtRNA / 翻訳 / プロファイリング / リボソーム
研究実績の概要

本研究ではこれまに得られた知見、バイオインフォマティクス解析の技術をもとに、翻訳最中にあるリボソームが取り込む揺らぎ塩基の使用頻度を調べるための実験系とバイオインフォマティクス解析のための基盤技術を確立することを目指している。本年度は、リボソームのP部位のmRNAコドンとtRNAアンチコドンを高精度に同定するための試料調製やライブラリー作成の条件の最適化をさらに進めた。その結果、より高い精度で、各種tRNA配列を分類し、かつ様々なtRNA修飾のより正確な定量を行うことができるように、バイオインフォマティクス解析手法、スクリプトの改変を行った。また、本年度はtRNAの解析に加えてmRNAの解析も進め、特にリボソームの交通渋滞をもたらすLtn1欠損マウスの大脳を用いた解析を進めた。その結果、Ltn1欠損マウスが発達障害を示す理由として翻訳の抑制が明らかになった。特に、Ltn1欠損マウスにおけるTTC3の異常な発現上昇が関わっていることを様々な翻訳解析から明らかにした。本研究で開発を行ってきた翻訳プロファイリングによる定量的な解析進めたところ、Ltn1欠損マウスでは翻訳開始段階が抑制されているために全体の翻訳活性が低下し、神経発達が遅れて認知障害が生じたこと、また、TTC3のノックダウンによって翻訳開始の異常な抑制が回復することを見出した。さらに、このようなmRNAの網羅的な翻訳解析によってリボソーム内において特異的なtRNAの増加が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

翻訳中リボソーム内のmRNAおよびtRNAの量と性質を調べるプロファイリング実験とバイオインフォマティクス解析の精度が顕著に向上したため。

今後の研究の推進方策

翻訳中リボソーム内のmRNAおよびtRNAの量と性質を調べるプロファイリング技術を疾患モデル細胞やマウスに応用することを目指すとともに、翻訳に使用される揺らぎ塩基の解析を進める。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Dysregulation of ribosome-associated quality control elicits cognitive disorders via overaccumulation of TTC32023

    • 著者名/発表者名
      Endo R., Chen Y.K., Burke J., Takashima N., Suryawanshi N., Hui K.K., Miyazaki T., Tanaka M.
    • 雑誌名

      Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A.

      巻: 120 ページ: e2211522120

    • DOI

      10.1073/pnas.221152212

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Dysregulated Translation Rhythms of Synaptic Genes in Neuropsychiatric Disorders2023

    • 著者名/発表者名
      Motomasa Tanaka
    • 学会等名
      GRC Translation Machinery in Health and Disease
    • 国際学会 / 招待講演

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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