研究課題
精神、心理状態の変化が身体に影響を及ぼすことは経験的にも知られているが、その分子機構は解明されておらず、それを客観的に評価できる バイオマーカーは存在しない。さらに、好ましくない環境や逆に楽しい環境などさまざまな心理状態が脳内でどのような神経回路を形成し健康や病気に影響するのかもほとんど理解されていない。これらの解明は現象が複雑であるがゆえ非常に挑戦的な研究課題であるが、精神、心理状態の変容と病気の関係を捉えられるためにゲートウェイ反射という申請者の独自の発見である観点に絞ってアプローチする。R3年度は、すでにストレスゲートウェイ反射発見時に実施したものを基本に、テレメトリー、エコーを含む生理学的検証、行動試験を含む神経生理学的検証にて表現型を解析、病理学的検証を実施、さらに、分子生物学的手法のほか、透明化技術、マススペクトロメトリー技術、神経科学技術も採用し進めている。具体的には、透明化法・連続切片と免疫染色法等の組み合わせ、全身連続切片とイメージングMSの組み合わせ、ソート、レーザーマイクロダイセクション法、リボゾームトラップ後の一細胞解析を含むRNAseq、LCMS、ChIPseqなどのRNA発現、分子、DNA修飾の網羅的検討、さらに、オプトジェネティクス、ケモジェネティクスによる特定神経回路機能の検証を実施してストレスゲートウェイ反射の詳細を分子レベルでの解明を遂行中である。また得られた知見を元に、北大病理学教室、法医学教室と共同研究にて特に加齢突然死、自己免疫疾患などのヒト検体での検証を同時に行なっている。
2: おおむね順調に進展している
R3年度は、透明化法・連続切片と免疫染色法等の組み合わせ、全身連続切片とイメージングMSの組み合わせ、ソート、レーザーマイクロダイセクション法、リボゾームトラップ(RT)後の一細胞解析を含むRNAseq、LCMS、ChIPseqなどのRNA発現、分子、DNA修飾の網羅的検討、さらに、オプトジェネティクス、ケモジェネティクス(DREADD法)による特定神経回路機能の検証など本研究の遂行に必須のシス テム導入と方法の確立および発展に取り組んだ。
R4年度は申請者の独自の発見であるストレスゲートウェイ反射を応用展開して精神、心理状態と免疫反応の関係を解析し、心理免疫学を創成することを目的とする。具体的には下記の3つの研究計画を行う。(1)正の感情を含め新たな心理、情動変化を負荷する事で誘導されるG反射を見出しその分子機構を解析する、 (2)心理、情動を制御することが判明している神経核細胞を直接刺激/抑制し誘導されるG反射を見出しその分子機構を解析する、(3)モデルの結果をヒトサンプルでも検証する。これらの研究をもとに様々な心理、情動変化が関連する病態の分子機構を明らかにして心理免疫学を創成し、最終的には臓器機能不全を予防、治療する全く新しい革新的な方法論を具体化する。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件) 学会発表 (59件) (うち招待講演 18件)
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