研究課題
R4年度では、関節リウマチモデルマウスの片側足関節の炎症で生じるATPが、感覚神経、続いて脊髄のプロエンケファリン陽性介在神経を順に活性化し、その後反対側の足関節に分布する感覚神経を活性化することにより、逆行性のATP放出を介して血管内皮細胞や線維芽細胞など非免疫細胞でIL-6アンプを惹起することで遠隔炎症が誘導される遠隔炎症ゲートウェイ反射機構の存在が明らかとなった。また、SLEモデルにおける慢性ストレスの導入により、正常マウスで増強される不安が当該マウスでは減少し、この機構として内側前頭前皮質の異常活性化から生じるミクログリア由来のIL-12/23p40の産生がNPSLE様の脱抑制様行動を誘導することを見出した。さらに、ストレス応答を担う神経核である室傍核に、チロシンヒドロキシラーゼ (TH) プロモーター依存的に興奮性DREADDを発現するrAAVを接種し、4週間後にミエリン抗原特異的自己反応性T細胞を尾静脈より移入した。その後、一日に一度clozapine N-oxide (CNO) あるいはdeschloroclozapine (DCZ) を腹腔内投与し、室傍核TH陽性神経細胞を人為的に活性化した。陰性対照のvehicle投与群、CNO/DCZ投与群ともにEAE症状を呈した一方で、CNO/DCZ投与群では潜血便が認められ、心臓では心筋の変性がみられた。また、海馬・側脳室・視床で囲まれる特定血管周囲にCD4陽性T細胞の浸潤が認められた。以上ケモジェネティクス法を用いた結果から、SG反射で報告した様に、室傍核TH陽性神経細胞の活性化により特定血管に血管ゲートが形成されること、自己反応性T細胞の浸潤・微小炎症が起点となって消化管出血・心不全を引き起こすことが確認された。
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