研究課題
CAAに特異的な分子機構について,皮質Aβ血管沈着を伴うAD患者(ADNC+/CAA +)と,Aβ血管沈着を伴わないAD患者(ADNC+/CAA -)からホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)切片を作成した。大脳皮質血管を、Laser Microdissection(LMD)を用いて、FFPE切片から採取し、Pressure cycling Technology(PCT)で処理し、SWATH(sequential window acquisition of all theoretical fragment ion spectra)プロテオミクスを適用した。ADNC+/CAA+/Hドナー(毛細血管にAβが高濃度に存在するADNC+/CAA +ドナー)の17タンパク質の発現量は、ADNC+/CAA-およびADNC-/CAA-ドナーのそれと比較して有意に異なっていた。さらに、ADNC+/CAA+とADNC-/CAA-のドナー間で平均発現量に1.5倍以上の差を示し、AβまたはCollagen alpha-2(VI) chain (COL6A2) のレベル(CAAマーカー)と有意に相関する56個のタンパク質を11人のドナー(ADNC+/CAA+ 6人とADNC-/CAA- 5人)で特定した。56種類のタンパク質のうち70%以上がADNC+/CAA+に特異的なタンパク質発現の変化を示した。脳実質との比較解析では、56個のタンパク質のうち90%以上が血管に特異的な病的変化であることが示された。文献に基づくパスウェイ解析では、42個のタンパク質が線維化、酸化ストレス、アポトーシスに関連していることが示された。また、HSP 90-α、CD44、Carbonic anhydrase 1の発現が増加しており、これらはCAAに対する薬剤の標的であった。LMDを用いたFFPE切片からの血管の分離、PCTを用いたサンプル処理、SWATH解析の組み合わせ(FFPE-LMD-PCT-SWATH法)によって、ADNC+/CAA+(CAA患者)の血管における線維化、ROS生成、細胞死に関与する多くのタンパク質の発現変化が初めて明らかとなった。
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