研究実績の概要 |
自然リンパ球(NK細胞, ILC1, ILC2, ILC3)は、炎症初期にサイトカインを産生することにより免疫の方向性を決める大事な免疫細胞である。NK細胞とILC1は抗ウイルス免疫・抗腫瘍免疫を、ILC2は抗寄生虫免疫・アレルギー炎症を、ILC3は抗細菌免疫を誘導する。自然リンパ球は、一度炎症を経験した後に長期生存し、2次刺激に対して抗原非特異的に炎症を誘導する機能(訓練免疫機能)をもつが、その生理的機能は未だ明らかになっていない。そこで本研究では、①活性化し訓練を受けたILCを追跡する動物モデルを作成し、②活性化ILCのみを除去する動物モデルの作製を目標とする。 ILC活性化マーカーとしてKLRG1, PD-1, TIGITに着目した。細胞系譜解析を行うために、それぞれのCre-ERT2マウスを作製し、Rosa26-loxp-stop-loxp-tdTomatoマウスと掛け合わせた。TIGIT陽性となったILC2の細胞系譜解析の結果、ILC2は過剰に活性化するとTIGITを発現し、近くにいるマクロファージによって細胞死が誘導されることが分かった。この結果はJ Exp Medで発表した(Yamada T, et al., J Exp Med. 2024)。KLRG1-Cre-ERT2マウスは効率よくKLRG1陽性細胞をラベルすることが出来ず、pendingとした。一方、PD-1陽性となったILC2の細胞系譜解析の結果、PD1陽性となったILC2は長期生存し訓練免疫現象を担うことが分かった。そこで、PD-1を発現したILC特異的に細胞を除去するために、PD1-Cre-ERT2/GATA3-loxp-stop-loxp-Frt-iDTR-GFP-Frt/Lck-Flpoマウスを作製した。現在評価中である。
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