研究課題
マウス脳梗塞モデルにおいて、慢性期の脳にTregが集積し、このTregが脳内Tregの特徴を獲得し、アストロサイトと相互作用して神経損傷の回復に寄与することを明らかにしてきました。しかし、組織内Tregの発生機構は十分に解明されていないませんでした。そこで、我々はアストロサイトやミクログリアと二次リンパ組織のTregを共培養することでin vitroで脳組織Tregの誘導を試みました。脾臓由来のナイーブTregは、初代培養系アストロサイトの存在下でT細胞受容体(TCR)刺激により活性化され、効率的に増殖しました。このTregの活性化・増殖にはアストロサイトとの直接的な接触が必要であることが分かりました。さらに、IL-33とセロトニンを添加すると、組織TregマーカーであるST2やペルオキシソーム増殖剤活性化受容体γ(PPARγ)、セロトニン受容体7(Htr7)の発現など脳Tregの特性の一部を付与することができました。トランスクリプトーム解析の結果、in vitroで作製した脳Treg様Tregは、in vivoの脳内Tregと同一ではないが、同様の遺伝子発現パターンを示すことが明らかとなりました。さらに、T細胞が疾患進行に関与することが示されているパーキンソン病モデルにおいて、in vitro誘導性脳Tregsは脾臓Tregsよりも脳内に浸潤しやすく、病態症状をより効果的に改善することが確認されました。これらのデータは、in vitro誘導性脳Tregsが脳内Tregの発生に関する理解に貢献し、また炎症性脳疾患の治療薬となる可能性を示しています(Yamamoto et al. Front Immunol. 2022)。
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