研究課題/領域番号 |
21K19397
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小野寺 康仁 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (90435561)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | タンパク質トランススプライシング / ウイルス様粒子 / 酵素活性制御 |
研究実績の概要 |
本年度は、昨年度に確立した「ウイルス様粒子(virus-like particle, VLP)」へのタンパク質導入をさらに容易にするための新たなシステムの開発に取り組んだ。幾つかの脂質結合ドメインを用いることで目的タンパク質が細胞外小胞に取り込まれることを確認した。またこのとき、VSV-Gなど、ウイルス由来の融合タンパク質を細胞に発現させておくと、任意のタンパク質を含み非常に効率の良い細胞膜融合活性を持ったVLPを作成できることを確認した。目的タンパク質の導入をより効率化するため、当該の脂質結合ドメインに直接的に目的タンパク質を融合させるのではなく、タンパク質結合に関わるドメインおよびその結合配列を介した「間接的な導入」を検討した。これにより、1分子の脂質結合ドメインに対して複数個の目的タンパク質を連結できることが示唆され、VLPにより効率的に目的タンパク質を導入することが可能となった。 また、本研究の進行の過程で、細胞あるいはVLPから酵素断片が漏出することによって、細胞外において酵素活性を生じてしまうという問題点が明らかとなった。これは本手法に限らず、あらゆるタンパク質において起こり得ることではあるが、厳密な酵素活性制御を目指す本研究においては無視できない事象である。そこで追加の検討事項として、意図せずに細胞外に漏出した酵素の活性を抑制するための手法の開発を試みた。現時点で、プロトタイプは完成している。上記項目とあわせて論文発表を行うため、研究期間の延長をすべきと判断した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の目的である酵素活性の完全な制御については、タンパク質トランススプライシングとウイルス様粒子を組み合わせた方法によって昨年度の時点で実現しており、既に論文発表にも至っている。本年度は同手法のさらなる効率化と、新たに直面した問題点(タンパク質漏出による細胞外における酵素活性)の解決を目標として新たな研究項目に取り組んだ。これらについても現時点で論文投稿の準備に至っており、次年度中に発表を完了できるものと考えている。以上の事から、「当初の計画以上に進行している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
上述のように、細胞外粒子に効率的にタンパク質を取込ませる方法の論文発表の完了と、細胞外に漏出した酵素の活性を自動的に抑制する手法の確立および論文発表を、次年度中に完了する予定である。特に後者については、これまで報告例のない原理に基づく新規性の高い手法であるので、特許申請も併せて行うことを検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
遺伝子構築の材料の多くについて、以前の研究で用いたプラスミド等を転用することができたため、遺伝子合成にかかる費用を当初の見積もりと比べて大幅に抑制することができたため。また、細胞への安定導入に用いる試薬等についても、他の研究プロジェクトと共用することができたため。これらの余剰分については、次年度に行う予定である追加実験及び論文発表、特許申請などの準備において有効活用する予定である。
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