研究課題
がんの転移・浸潤・薬剤耐性などの悪性化には腫瘍微小環境が重要な役割を果たす。申請者は、腫瘍微小環境において、分岐鎖アミノ酸のがん細胞への供給が、線維芽細胞や間質細胞からなされる新たなメカニズムが存在する可能性を見出している。本研究では、アミノ酸を軸とした腫瘍組織における細胞間相互作用で鍵となる代謝物(メタボロインタラクト―ム)の探索的な研究から新規がんの治療法の開発につながる研究を目的とし以下の2項目について検討した。(1)腫瘍微小環境における細胞間相互作用で鍵となる代謝物の探索: 本研究では、がん細胞と線維芽細胞や免疫細胞との代謝物を介した細胞間相互作用(メタボロインタラクトーム)を解明を目的とした。申請者らは、膵癌がん細胞株と線維芽細胞 を免疫不全マウスに共移植すると腫瘍増殖を促進し、さらに、メタボローム解析から線維芽細胞由来の分岐鎖アミノ酸が腫瘍内で増加していることを発見した(未発表データ)。さらに、本研究では細胞間相互作用で鍵となる代謝物をがん細胞とがん関連線維芽細胞の共培養系、共移植系を用いて、1細胞・空間的遺伝子発現解析やメタボローム解析から同定し、in vitro in vivoの評価を行った。(2)代謝物を介した細胞間相互作用によるがん悪性化機構の解明と制御: 本研究は、各種アミノ酸で特異的なヒストン修飾(H3K4me3, H3K27ac)を解析し、プロモーター、エンハンサーの同定し、クロマチン相互作用のデータとの統合解析から、上流転写因子やアミノ酸トランスポーターなどの各アミノ酸で鍵となる機構を見出し論文投稿準備中である。本研究は、がん研究のみならず、アミノ酸代謝疾患研究、栄養学研究、mTOR研究などの学術体系の変革や転換にも繋がる可能性を有し、がんを克服する画期的な代謝疾患の制御法を開発に繋げるという挑戦的な研究である。
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