本年度は、RBD24上流発現制御領域の解析を目的として、ATAC-Seq、ChIP-Seqの公開データを検討し、RBD24とZEB1間の転写・転写後調節のクロストークを維持する重要なエンハンサー領域を同定した。これらの領域においてZEB1と共に作用する転写調節因子も同時に特定した。さらに、siRNAを用いた解析やレポーターアッセイをトリプルネガティブ乳がん(TNBC)患者由来異種移植モデル(PDX)および細胞株で実施し、RBD24の発現制御における同定領域の重要性を検証した。次に、TNBC手術病理検体におけるRBD24とZEB1の共局在の有無を免疫染色によって検証、RBD24とZEB1の共局在が確認されたことから、両者の相互作用の可能性が示唆された。さらに、乳がん細胞に対してRBD24をノックダウンし、NOGマウスに皮下移植したサンプルに対してscRNAseq解析を行ったところ、RBD24が乳がん幹細胞集団の恒常性維持に重要な役割を果たしていることが明らかになった。以上の結果は、RBD24を介した新たな治療標的の可能性を示唆するものであり、今後の乳がん治療研究に繋がることが期待される。
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