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2021 年度 実施状況報告書

がん抗原の発現増強の新手法としてのmRNA監視機構阻害

研究課題

研究課題/領域番号 21K19413
研究機関琉球大学

研究代表者

山下 暁朗  琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20405020)

研究期間 (年度) 2021-07-09 – 2023-03-31
キーワードがん抗原 / フレームシフト変異 / mRNA分解 / ナンセンスコドン / 細胞ストレス応答 / mRNA翻訳
研究実績の概要

がん免疫を賦活化する方法として、mRNA監視機構を抑制により、がん細胞に特異的ながん抗原の元となる異常タンパク質を強制発現させる手法の可能性が指摘されている。本研究では、mRNA監視機構を阻害する新たな手法の開発に向けて、mRNA監視機構の新規の阻害因子の同定と解析を目的とした。免疫チェックポイント阻害 による治療の根幹となる、がん抗原の主体がフレームシフト 異遺伝子由 のmRNAがコードする非天然ペプチドであることが分かってきた。フレームシフト 異が生じると、すぐに異常終止コドンが出現し、mRNA監視機構によりmRNAが分解され、がん抗原の発現は低く抑えられている。そのため、がん抗原の発現促進によるがん免疫賦活化にはmRNA監視機構の阻害が重要となる。本研究は、細胞ストレスなどにより、mRNA監視機構を抑制し、がん抗原を発現させる手法の開発につながる基盤となるものである。本研究では、我々が開発したシーズ技術である 高精度mRNA監視機構モニタリングシステム(特許出願中)を用い」研究を実施した。
具体的には以下の二つの研究を推進している。
1) ストレス 答依存的なmRNA監視機構阻害因子の同定と解析:①独自の細胞ストレスに応答したリボソーム結合RNAの次世代シークエンス解析データ(約200遺伝子)と既報のリボソームフットプリント解析データ(約800遺伝子)を合わせストレス依存的に翻訳が促進する遺伝子の中から共通する物を約40遺伝子抽出した。これについてそれぞれ2種のsiRNAを合成し、②独自の高精度mRNA監視機構モニタリングシステムを用いた解析により、4つまで候補遺伝子のを絞り込むことに成功した。これらについて、cDNA入手と発現ベクターの構築を進めている。さらに、独自のリボソーム結合RNA同定プロトコールの樹立を進めており、今後の解析の迅速化を図っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究代表者はmRNA監視機構の分子機構解析において、世界のトップランナーであるだけでなく本研究に必要cDNA, 抗体などを含むほとんどの実材料、基礎データ、技術シーズを有している。本研究では、我々が開発したシーズ技術である 高精度mRNA監視機構モニタリングシステム(特許出願中を用い独自性の高い研究を実施する。ストレス依存的に発現するNMD阻害因子の存在を予測していたが、独自データと既報データを合わせた因子利己解析と、siRNAを用いたオリジナルの高精細mRNA監視機構モニタリングシステムを用い、実際に、候補遺伝子を4つまで絞り込むことに成功するなど、計画は順調に進展している

今後の研究の推進方策

がん免疫を賦活化する方法として、mRNA監視機構を抑制により、がん細胞に特異的ながん抗原の元となる異常タンパク質を強制発現させる手法の可能性が指摘されている。本研究では、mRNA監視機構を阻害する新たな手法の開発に向けて、mRNA監視機構の新規の阻害因子の同定と解析を目的とする。免疫チェックポイント阻害 による治療の根幹となる、がん抗原の主体がフレームシフト 異遺伝子由 のmRNAがコードする非天然ペプチドであることが分かってきた。フレームシフト 異が生じると、すぐに異常終止コドンが出現し、mRNA監視機構によりmRNAが分解され、がん抗原の発現は低く抑えられている。そのため、がん抗原の発現促進によるがん免疫賦活化にはmRNA監視機構の阻害が重要となる。本研究は、細胞ストレスを誘導する などにより、mRNA監視機構を抑制し、がん抗原を発現させる手法の開発につながる基盤となるものである。本年度は、4つに絞り込んだストレス依存的mRNA監視機構抑制因子について、発現ベクターを用いた解析を進め、その作用機序を解明する。

次年度使用額が生じた理由

琉球大学の事務手続が完了し、使用可能となったr3/9/17より研究費の使用を開始したため。当初計画よりも研究費使用開始が遅くなった分、次年度使用額が生じた。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2022 2021 その他

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (2件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Deficiency of the kidney tubular angiotensin II type1 receptor?associated protein ATRAP exacerbates streptozotocin-induced diabetic glomerular injury via reducing protective macrophage polarization2022

    • 著者名/発表者名
      Haruhara Kotaro、Suzuki Toru、Wakui Hiromichi、Azushima Kengo、Kurotaki Daisuke、Kawase Wataru、Uneda Kazushi、Kobayashi Ryu、Ohki Kohji、Kinguchi Sho、Yamaji Takahiro、Kato Ikuma、Ohashi Kenichi、Yamashita Akio、Tamura Tomohiko、Tsuboi Nobuo、Yokoo Takashi、Tamura Kouichi
    • 雑誌名

      Kidney International

      巻: 101 ページ: 912~928

    • DOI

      10.1016/j.kint.2022.01.031

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Effects of tumor necrosis factor-α inhibition on kidney fibrosis and inflammation in a mouse model of aristolochic acid nephropathy2021

    • 著者名/発表者名
      Taguchi Shinya、Azushima Kengo、Yamaji Takahiro、Urate Shingo、Suzuki Toru、Abe Eriko、Tanaka Shohei、Tsukamoto Shunichiro、Kamimura Daisuke、Kinguchi Sho、Yamashita Akio、Wakui Hiromichi、Tamura Kouichi
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 11 ページ: 23587

    • DOI

      10.1038/s41598-021-02864-1

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Distinct RNA polymerase transcripts direct the assembly of phase-separated DBC1 nuclear bodies in different cell lines2021

    • 著者名/発表者名
      Mannen Taro、Goto Masato、Yoshizawa Takuya、Yamashita Akio、Hirose Tetsuro、Hayano Toshiya
    • 雑誌名

      Molecular Biology of the Cell

      巻: 32 ページ: ar33

    • DOI

      10.1091/mbc.E21-02-0081

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Tissue-specific expression of the SARS-CoV-2 receptor, angiotensin-converting enzyme 2, in mouse models of chronic kidney disease2021

    • 著者名/発表者名
      Tsukamoto Shunichiro、Wakui Hiromichi、Azushima Kengo、Yamaji Takahiro、Urate Shingo、Suzuki Toru、Abe Eriko、Tanaka Shohei、Taguchi Shinya、Yamada Takayuki、Kinguchi Sho、Kamimura Daisuke、Yamashita Akio、Sano Daisuke、Nakano Masayuki、Hashimoto Tatsuo、Tamura Kouichi
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 11 ページ: 16843

    • DOI

      10.1038/s41598-021-96294-8

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] De novo ATP1A3 variants cause polymicrogyria2021

    • 著者名/発表者名
      Miyatake Satoko、Matsumoto Naomichi et al
    • 雑誌名

      Science Advances

      巻: 7 ページ: eabd2368

    • DOI

      10.1126/sciadv.abd2368

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Aristolochic Acid Induces Renal Fibrosis and Senescence in Mice2021

    • 著者名/発表者名
      Urate Shingo、Wakui Hiromichi、Azushima Kengo、Yamaji Takahiro、Suzuki Toru、Abe Eriko、Tanaka Shohei、Taguchi Shinya、Tsukamoto Shunichiro、Kinguchi Sho、Uneda Kazushi、Kanaoka Tomohiko、Atobe Yoshitoshi、Funakoshi Kengo、Yamashita Akio、Tamura Kouichi
    • 雑誌名

      International Journal of Molecular Sciences

      巻: 22 ページ: 12432~12432

    • DOI

      10.3390/ijms222212432

  • [学会発表] mRNA翻訳による生命現象制御の新展開2021

    • 著者名/発表者名
      山下 暁朗、藤原 俊伸
    • 学会等名
      第44回 日本分子生物学会年会
  • [学会発表] mRNA監視機構制御因子SMG1キナーゼによる酸化ストレス応答制御機構2021

    • 著者名/発表者名
      山下 暁朗
    • 学会等名
      第44回 日本分子生物学会年会
  • [図書] 疾患原因遺伝子・タンパク質の 解析技術と創薬/診断技術への応用~エピゲノム、トランスクリプトーム、マルチオミクス、オープンデータベースの利活用~2022

    • 著者名/発表者名
      藤本明洋ら 86人
    • 総ページ数
      530
    • 出版者
      技術情報協会
    • ISBN
      978-4-86104-877-7
  • [備考] 琉球大学 先進医療創成科学 山下暁朗 研究室

    • URL

      https://yamashita-lab.labby.jp/

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公開日: 2022-12-28  

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