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2021 年度 実施状況報告書

記憶の固定化に寄与する新規メカニズムの検証と確立

研究課題

研究課題/領域番号 21K19427
研究機関名古屋大学

研究代表者

木下 専  名古屋大学, 理学研究科, 教授 (30273460)

研究期間 (年度) 2021-07-09 – 2023-03-31
キーワードシナプス / スパイン / 長期増強 / 空間文脈 / 滑面小胞体
研究実績の概要

SEPT3はシナプス活動に伴い他のシナプス蛋白質とともにリン酸化されるが、スパインへのER伸展との関連は不明である。そこで本研究では、SEPT3のリン酸化部位の同定とER伸展との関連を検証した。
【結果】1. 疑似リン酸化型SEPT3-T211EによるスパインへのER伸展の亢進:シナプス活動に伴って活性化するPKA、PKC、CaMKIIなどによるリン酸化基質になることが1次構造から予測された6つのS/T残基をD/Eに置換した疑似リン酸化型SEPT3を発現させたところ、SEPT3-T211E発現群のみER含有率が有意に高かった (WT 64% vs. S70D 63%, S84D 64%, S87D 64%, S91D 65%, S92D 64%, p>0.99, T211E 78%, p=0.0059)。
2. SEPT3-T211Eと活性型MYO5AによるスパインへのER伸展の制御:対照群と比較してSEPT3-T211E発現群および活性型MYO5A発現群はER含有率が有意に高く、野生型SEPT3またはSEPT3-T211Eと活性型MYO5Aの共発現群ではさらに高かった。SEPT3欠乏により低下したER含有率はRNAi耐性SEPT3-T211Eと活性型MYO5Aの共発現でレスキューされたことから、両者の機能的相互作用が示唆された。
3. SEPT3-T211Eの局在の検証:野生型SEPT3はSEPT7など他のサブユニットと同様にスパイン基部に局在する一方、SEPT3T-211EはClustering Indexが有意に低く(1931 vs. 879, p=0.0017)、リン酸化によるセプチン・オリゴマーからの解離ないし脱局在が示唆された。
4. ER伸展の分子機構の解明を目指してCID(Chemically Induced Dimerization)法を導入し、人為的に上記分子間相互作用を誘導することに成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究により、SEPT3のThr211残基がリン酸化されることでスパイン基部から遊離し、活性型MYO5Aと協調してスパインへのER伸展を促進する  ことが示唆されたため、これまでの知見も踏まえて作業仮説を更新した。
①シナプス活動で活性化したキナーゼにより、スパイン基部に集積するセプチン集合体内のSEPT3がリン酸化されて遊離し、活性化MYO5Aと会合する。
②pSEPT3-T211活性型MYO5A複合体がER膜と直接または間接的に接触し、スパイン頸部のアクチン系を介してERを牽引する。

今後の研究の推進方策

これまではSEPT3のT211にフォーカスしてリン酸化とER伸展との関連を検証した。今後は他のS/T残基のリン酸化の探索を行う。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件)

  • [学会発表] A myosin/septin-dependent postsynaptic regulation required for memory consolidation2021

    • 著者名/発表者名
      Natsumi Ageta-Ishihara, Yugo Fukazawa, Keizo Takao, Mineko Kengaku, Tsuyoshi Miyakawa, Kaoru Inokuchi, Haruhiko Bito, Makoto Kinoshita
    • 学会等名
      第44回日本神経科学会年会/第1回CJK国際会議
    • 国際学会
  • [学会発表] 記憶の長期化に寄与するスパイン内小胞体の役割2021

    • 著者名/発表者名
      上田(石原)奈津実, 木下 専
    • 学会等名
      第19回神経科学研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] Activity-triggered extension of endoplasmic reticulum into dendritic spines as a synaptic basis of memory consolidation2021

    • 著者名/発表者名
      Makoto Kinoshita
    • 学会等名
      EMBO Workshop Molecular and cell biology of septins
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Modification of physical properties and reconstruction of postsynaptic density by liquid-liquid phase separation2021

    • 著者名/発表者名
      Tomohisa Hosokawa, Pin-Wu Liu, Makoto Kinoshita
    • 学会等名
      第 44 回日本分子生物学会年会(MBSJ2021)
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2022-12-28  

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