研究課題
挑戦的研究(萌芽)
アルカリフォスファターゼは、プリオンのような難分解性蛋白質凝集体に対する新たな細胞内分解系の原理の究明につながる手掛かりであると考えた。しかし、この2年間の研究成果としては、プリオン持続感染細胞においてアルカリフォスファターゼがプリオン量に影響を与えることは確認できたが、その機序解明につながる手掛かりは得られなかった。また、アルカリフォスファターゼが働く細胞局所のアルカリ性環境がプリオンの分解排除に関わるとの仮説をたてていたが、仮説の正否を判断できないままであり、今後さらなる検討が必要である。
神経内科学
難分解性蛋白質凝集体が細胞内でどのように分解・代謝されているのか、その基本原理は不明であり、既知の分解系だけでは説明できない。新たな基本原理の究明は、難分解性蛋白質凝集体が細胞や組織中に蓄積する様々な疾患に対して、新たな治療開発の糸口を与えてくれる可能性がある。難分解性蛋白質凝集体の代表であるプリオンにおいて、アルカリフォスファターゼとの関係に光をあてた本研究は、この新たな基本原理の究明に結びつく可能性を残し、アルカリフォスファターゼの新たな機能解明につながることが期待される。