研究課題/領域番号 |
21K19443
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
勝野 雅央 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (50402566)
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研究分担者 |
井口 洋平 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (80790659)
横井 聡 名古屋大学, 医学系研究科, 特任助教 (30815460)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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キーワード | レビー小体病型認知症 / パーキンソン病 / 神経回路 / 嗅球 / 視覚野 / シヌクレイン / 神経活動 / カルシウムイメージング |
研究実績の概要 |
レビー小体病は、パーキンソン病(PD)とレビー小体型認知症(DLB)を含む神経変性疾患スペクトラムであり、ニューロン内へのαシヌクレインの異常凝集やミトコンドリア障害などが病態の根幹に関わっていると考えられている。本研究の目的は、異常シヌクレインを発現するモデルマウス後頭葉の神経回路解析とトランスオミックス解析などによるシヌクレインの凝集を伴わないニューロン変性機序の解析である。家族性PDの原因となるA53T変異シヌクレインをAAVに搭載し(AAV-aSyn-A53T)、マウスの嗅球に接種することでモデルを作成し、その神経機能および病理所見の解析を行った。本マウスの行動解析では、視覚機能を反映するvisual cliff testの異常がみられたが、elevated plus mazeやnovel object recognitionなどの記憶・情動に関わる異常は明らかでなかった。また、病理学的にはシヌクレインが嗅球から嗅皮質へと広がっていたが、視覚野までは達していなかった。神経活動を評価するためc-fos染色を行ったところ、嗅皮質および視覚野においてc-fosの発現が低下しており、シヌクレインの発現による神経機能の低下と、それらの神経の投射先におけるシヌクレイン凝集非依存的神経機能低下が示唆された。さらに、AAV-aSyn-A53TマウスにBBBを通過可能なウイルスベクターを用いてカルシウム感受性蛍光タンパク質のGCaMPを発現させ、広視野蛍光顕微鏡を用いた長時間広域Caイメージングを行った(名古屋大学創薬科学・小坂田文隆准教授との共同研究)。現在、そのデータ解析中である。また、マウス脳のトランスクリプトームについてもサンプルを収集済みであり、今後解析を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
AAV-aSyn-A53Tマウスの行動・病理学的解析を予定通り行い、さらに長時間広域Caイメージングについてもデータ取得済みである。コロナ禍における実験の制限や実験機器の入手困難があったが、当初の予定通り研究を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は長時間広域Caイメージングとトランスクリプトーム解析の結果を行動解析結果と比較検討し、さらにレビー小体病ハイリスクコホートのメタボローム解析などのオミックスデータとも比較する。
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次年度使用額が生じた理由 |
[理由]予定していた実験用試薬を譲り受けることができ、マウス飼育管理費の負担の一部を他の研究と共同でしたため飼育管理費に残額が生じた。 [使用計画]実験用試薬に充当する予定である。
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