研究課題/領域番号 |
21K19445
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
原田 浩 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (80362531)
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研究分担者 |
小林 稔 京都大学, 生命科学研究科, 特定助教 (40644894)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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キーワード | が / 低酸素 / マーカー |
研究実績の概要 |
これまでの研究で我々は、悪性固形腫瘍内の低酸素領域に巣食う“低酸素がん細胞”が放射線治療を優位に生き残り、血管近傍に浸潤して再発と遠隔転移を引き起こすことを見出し、患者の腫瘍内低酸素領域をモニターする重要性を報告してきた。この知見に基づいて個別化がん治療を具現化するためには『腫瘍内の低酸素分画を簡便に定量する系』が必要である。本研究では、我々がこれまでに進めてきた遺伝子スクリーニング法に修正を加えて最適化することを目指した。そして腫瘍内の低酸素がん細胞から分泌されるタンパク質を、血中マーカーとして活用する新たな手法を確立するため、以下の研究を実施した。 ・低酸素環境に曝されたがん細胞が分泌するタンパク質をゲノムワイドに探索し、これまでに見出しているHISP2に加え、高度な低酸素応答性が認められる候補遺伝子を複数見出した。 ・これらの因子が低酸素刺激依存的に分泌される機序の一端を解明し、低酸素がん特異性をin vitroおよび担がんマウスを対象にしたin vivo実験で検証した。 ・同因子群に対する抗体を作成して、同因子を高感度に検出、そして定量するELISA系を確立する準備を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画を順調に実施することが出来たため。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに絞り込んだ「低酸素環境下でがん細胞が発現する候補タンパク質」の発現制御機構を分子細胞生物学的手法で解明し、以て低酸素がんのマーカーとなりうるタンパク質の有用性を検証する。同定したタンパク質のアミノ酸1次配列をin silico解析し、抗原と成り得る領域を選出する。得られた情報をもとに3種のポリペプチドを化学合成し、ウサギに免疫してポリクローナル抗体を作成する。作成した抗体の力価を比較し、最も良好な抗体を選出する。この抗体を活用してELISA系を確立し、担がんマウスを対象にして、免疫染色で定 量した移植腫瘍内低酸素領域の量と血中の同タンパク質濃度の相関を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度に計画していたラビットモノクローナル抗体の作成が、外注先企業の受注制限により令和4年度に依頼することにしたため。
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