研究課題
挑戦的研究(萌芽)
チロシン残基の修飾を目的として、トリアザブタジエン(TBD)骨格にDOTA誘導体であるDO3Aを導入した新規分子(TBD-DO3A-1)を設計・合成した.次いで、モデルペプチドとしてcRGDyKを選択し,チロシン修飾およびIn-111標識について検討した。その結果,目的とする標識体である[111In]In-Tyr-TBD-DO3A-1を高収率,高純度で得ることに成功した.さらに,得られた標識体は血漿中で安定であり,本標識法の有用性が示唆された.
放射性医薬品学
本研究において,放射性金属核種を用いたチロシン残基特異的標識法の開発に成功した.現在までに確立されている放射性金属核種を用いたアミノ酸修飾法は,リジン残基やN末端のアミノ酸残基のアミノ基をスクシンイミド基によって修飾する手法とシステイン残基のチオール基をマレイミド基によって修飾する手法の二つである.したがって,本手法の開発によって,従来に比べて多彩な分子設計が可能となり,放射性金属核種を用いたがんの診断・治療(セラノスティクス)に有効な新規薬剤の創出につながると考えられる.