研究課題
マウスICR1をモデルとして、DNAメチル化の伸展をブロックする境界領域の特徴を明らかにし、DNAメチル化伸展の分子機構を解明することを目的とした。マウスの母性アレルICR1のSOX2/OCT4結合部位(SO)と4ヶ所のCTCF結合部位(CTS1-4)に変異を導入した変異マウスパネルを作成した。これまでに樹立した系統(mSO、mSO+CTS3(mSOC3)、mSO+CTS4(mSOC4)、ΔCTS3(ΔC3)、ΔCTS4(ΔC4))に加えて、ΔCTS3+ΔCTS4(ΔC3+C4)、mSO+CTS1(mSOC1)、mSO+CTS2(mSOC2)、ΔCTS1、ΔCTS2の5系統を樹立し、計10系統の変異マウスパネルを得た。これらのマウスの表現型(過成長)を解析したところ、mSOC3、mSOC4、ΔC3+C4に過成長を認め、その頻度はmSOC3が最も高く、mSOC4とΔC3+C4は低頻度であった。DNAメチル化に関しては、mSOC3でICR1全域の高度な高メチル化が生じ、Igf2の両アレル発現とH19の発現低下を認めた。mSOC4とΔC3+C4は、高メチル化の程度が軽度で範囲も狭いものの、Igf2両アレル発現とH19発現低下を認めた。さらに、クロマチン免疫沈降解析の結果から、mSOC3ではすべてのCTSへのCTCFとコヒーシンの結合が大幅に低下していたのに対して、mSOC4ではCTCFの結合はわずかに低下したのみで、コヒーシンの結合はほとんど変化しなかった。以上より、ICR1全域へDNAメチル化が進展するための鍵となる部位はSOとC3であり、これらの領域にSOX2/OCT4およびCTCFが結合できなくなると高メチル化およびクロマチン構造が変化し、過成長を惹起させる遺伝子発現変化が生じることが強く示唆された。
すべて 2023 2022 その他
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (1件) 備考 (1件)
Glycoconjugate Journal
巻: 0 ページ: 1-10
10.1007/s10719-023-10108-9
Scientific Reports
巻: 13 ページ: 2603
10.1038/s41598-023-29912-2
腎と透析
巻: 94 ページ: 346-352
Journal of Cellular Physiology
巻: 237 ページ: 3912~3926
10.1002/jcp.30844
Clinical Epigenetics
巻: 14 ページ: 64
10.1186/s13148-022-01280-0
Cancers
巻: 14 ページ: 5563~5563
10.3390/cancers14225563
周産期医学
巻: 52 ページ: 755-759
http://www.biomol.med.saga-u.ac.jp/mbg/index.htm