本研究計画では、これまで症候学上全く異なるとされていた、動脈硬化性疾患、不整脈、大動脈弁疾患を一つの疾患概念で捉え、横断的にその進行メカニズムを探る、というテーマで開始された。基礎的な検討が十分に行えず、メカニズムの同定や治療標的や治療法の開発までは至らなかったものの、臨床データや症例の末梢血の解析からさまざまな重要な知見が得られ、今後の発展が期待される。特に日本人における慢性炎症の重要性や弁と血管の石灰化メカニズムの違いなど、今回得られた知見をもとに、今後は介入研究や基礎的な研究を進め、高齢化が進行するわが国において重要度を増す、老化に伴う心血管疾患の新たな治療法の開発につなげたい。
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