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2022 年度 実施状況報告書

外部からの光照射を必要としない革新的な光免疫療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K19459
研究機関関西医科大学

研究代表者

花岡 宏史  関西医科大学, 医学部, 教授 (50361390)

研究分担者 小川 美香子  北海道大学, 薬学研究院, 教授 (20344351)
石岡 典子  国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 放射線生物応用研究部, 部長 (30354963)
研究期間 (年度) 2021-07-09 – 2024-03-31
キーワード光免疫療法 / チェレンコフ光 / 放射性薬剤 / クリック反応
研究実績の概要

光免疫療法は新たながん治療法として注目されており、臨床において優れた治療効果を示している。しかし光免疫療法においては、がんに対してどのように光を照射するかというのが一つの課題である。一方、放射性薬剤が放出するチェレンコフ光は、光免疫療法の光源として利用可能であると考えられる。そこで本研究では、光免疫療法に用いるのに適した新規放射性薬剤を開発することで、外部からの光照射を必要としないチェレンコフ光による新たな光免疫療法を確立することを計画した。
2022年度はチェレンコフ光を利用した光免疫療法の基礎検討として、高エネルギーβ線放出核種であるイットリウム-90(90Y)およびポジトロン放出核種である臭素-76(76Br)用いた実験を行った。90Y標識薬剤としてはDOTAをリンカーを介してテトラジンを結合した前駆体を作製し、抗体に対しては光感受性色素であるIR700およびテトラジンとクリック反応するTrans-Cyclooctene(TCO)を結合した。DOTA-テトラジンを90Y標識した後、クリック反応によりIR700結合抗体に導入したが、チェレンコフ光によるIR700の化学変化は認められなかった。その理由として、放射性核種とIR700の距離がまだ離れすぎているからではないかと考えた。そこでIR700と放射性核種の距離がもっと近いモデル化合物として、IR700結合ペプチドのTyr残基に対して76Brを導入したところ、溶液のIR700由来の青色の消失が観察され、IR700の化学的変化が起こったことが示唆された。
一方、担がんマウスに対してTCO-抗体を投与した後に90Y-DOTA-テトラジンを投与し、薬剤の体内動態を検討したところ、血液クリアランスが早く腫瘍集積性も不十分であった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

抗体に対してIR700および放射性核種を導入することでIR700の化学変化を起こすことが可能であると考えていたが、さらに距離を近づける必要があることが示唆された。従って新たなIR700標識抗体-TCO複合体の新たな設計が必要である。またDOTA-テトラジンの腫瘍集積性も不十分であったことから、こちらも改良が必要である。

今後の研究の推進方策

新たなIR700標識抗体-TCO複合体を設計・合成し、放射性薬剤との反応によりIR700が化学変化起こすことを確認する。また体内動態および腫瘍集積性に優れたDOTA-テトラジン誘導体についても新たに設計・合成し、評価を行う。両検討において良いものが作製できれば、培養細胞及び担がんマウスにおける評価実験を行う。

次年度使用額が生じた理由

研究が遅れているため、必要な消耗品の購入費に残額が生じた。次年度も消耗品費として使用する予定である。

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公開日: 2023-12-25  

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