白血病の治療には、白血病を正確に診断し、それぞれの分類に最適な治療骨格と強度を選択することが重要である。しかし、白血病の診断技術は専門性が高く、その精度が診療の内容に直結し、治療成績の向上や臨床研究の質の担保に必要である。 そこで本研究は、「人工知能(AI)に白血病の診断情報を学習させることで、精密な白血病細胞の判定と分類が可能である」という仮説のもと、AIに表面マーカー解析結果や骨髄塗抹標本画像などの診断情報を学習させることで、「精密な診断を行うAI診断支援技術の確立」を試みている。 具体的には、750人の小児白血病の免疫診断情報(フローサイトメトリーから得られた生情報)を用い、専門医によって分類した白血病の診断分類の情報を教師データとして学習させた。AIによる診断分類の正解率は99%となり、専門医の診断分類を再現することが可能になった。また、ランダムにピックアップした20例に対して確認を行ったところ、AIによる判定時間は2分未満であるのに対し、医師による診断は平均で40分であり、判定精度のみならず判定時間については専門医を超えうることが示された。 また、表面マーカーのパターンから白血病細胞のもつ融合遺伝子などの有無を76%~90%の一致率で推定することも可能であった。 さらに、explainable AIとすべく、それぞれの免疫診断やゲノム異常の分類に、どの表面マーカーを重要としているかを確認できた。 これらの免疫診断システムの性能をさらに向上させ、一般化し診療実装に向けるために臨床研究を開始する予定である。
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