研究課題/領域番号 |
21K19464
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
釣木澤 朋和 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (10716210)
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研究分担者 |
疋島 啓吾 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (30420219)
笠原 和美 (疋島和美) 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 研究員 (30706164)
阿部 十也 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 脳病態統合イメージングセンター, 部長 (60588515)
植松 朗 東京大学, ニューロインテリジェンス国際研究機構, 特任講師 (90716242)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | ヒト / マカクサル / マウス / MRI / DTI / functional connectivity |
研究実績の概要 |
異なる種間の脳構造を比較可能にするため、FSL、MRTRIX3、Free Surferを中心とした解析パイプラインの構築を行った。まず、ヒトのデータから解析を開始した。拡散テンソル画像(DTI)とT1、T2(b0)といった構造データを用いた。T1データから白質構造を抽出し、白質の体積、表面の抽出を行った。さらに、DTIデータのeddy current correctionを行い、fractional anisotropy(FA)、mean diffusivity(MD)などの解析結果を取得した。T1・T2画像を元に、ANTsを使って標準脳への標準化を行い、FSLを用いて2領域間の白質結合を算出した。今年度は、マカクサルの専用RF送受信コイルを作成した。これにより、高分解能のマカクサルのfMRI、DTI画像を取得し、ヒトと同様のパイプラインを構築して解析することに成功した。マカクサルの白質抽出は既存のプログラムが存在しないため、新たにプログラム作成を行い、ヒトと同様に白質を抽出することに成功した。さらに、マカクサルでは三種混合麻酔下で安静時機能的MRI(rsfMRI)計測を行い、脳の機能的結合について解析を行っている。機能的結合は、独立成分分析(ICA)を用いて行う。ICAにより抽出された結合のうち、デフォルトモードネットワークなどの既知の領域間ネットワークを分類する。以上より、ヒト、サルの機能的結合、脳構造の違いを比較するためのツールを揃えることができた。現在、ヒトとサルの比較に関する論文を執筆中である。 マウスに関しては、DTI、安静時fMRIともに画像を取得中である。来年度にヒト、サルとの比較を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の予定通りヒト、マカクサル、マウスの画像データの取得・解析に成功している。研究成果に関する論文を執筆中であり、2023年度中に論文発表を目指している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題で作成した解析パイプラインを用いて、ヒト、マカクサル、マウスの機能的結合を比較する。まずはマカクサルの脳をヒトの脳へと変換する手法を構築し、機能的結合がヒトとマカクサルでどの程度相動性があるのかを調べる。その後、マウスとマカクサルの脳について比較を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウィルスにより、MRI実験の制限、研究所への出勤制限、そして学会出張への制限があったため、次年度使用額が生じた。来年度は国際学会への参加、論文掲載料、解析コンピュータの購入等に使用する。
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