消化管上皮の腺管底部に存在するLgr5陽性幹細胞が同定されて以降、消化管幹細胞研究はLgr5陽性細胞の動態解析を中心に進められてきた。しかし申請者の精密かつ詳細な観察によって、胃上皮ではLgr5陽性幹細胞よりもその上方に位置するLgr5陰性(Lgr4陽性)幹細胞の方がより活発に腺管構成細胞を供給していることが明らかとなった。本研究は「これまでのLgr5=胃上皮の主たる幹細胞」という学説を覆す、大きな成果を輩出した。また、胃の基礎研究領域で簡易的な脱分化マーカーとして汎用されている主細胞・頸細胞間の中間細胞について世界で初めて選択的な細胞標識を実現し、分裂・分化様式を可視化することに成功した。
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