研究課題/領域番号 |
21K19484
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
竹居 孝二 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (40322226)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | ポドサイト / ダイナミン / 微小管 / チューブリン / アクチン / 生体膜 |
研究実績の概要 |
1.ダイナミン1による微小管制御: 分化ポドサイトではダイナミン1が微小管を束化してポドサイトの突起形成に寄与することを発見し、精製ダイナミン1と微小管を試験管内で反応させると、ダイナミン1が微小管周囲に重合して微小管束を形成することを示した(La et al., FASEB J 2020)。さらに、合成ペプチドを用いた結合阻害実験によりダイナミン1PHドメインの微小管;管結合部位を特定した(Hori et al., eLife 2022)。吉川雅英博士(東京大)との共同研究により、ダイナミン1と微小管の超複合体のクライオ電子顕微鏡解析を実施した結果、ダイナミン1は脂質膜上と同様に微小管にらせん状に重合するが、微小管との結合は緩く、PHドメインの位置もフレキシブルであることが判った。 2.ダイナミン2によるアクチン制御: ポドサイトは分化に伴いストレスファイバーの配向を再編させて、著しく伸展し、ダイナミン2は主要アクチン制御分子として働く。ダイナミン2の疾患変異K562Eは細胞内のストレスファイバーを減少させるが、アクチン線維束化能は保たれていることがin vitro 解析により判った(Hamasaki et al., Front Cell Dev Biol.2022)。成田哲博博士(名古屋大)との共同研究により、ダイナミン2がつくるアクチン線維束の立体構造解析に着手し、予備実験としてダイナミン2野生型及びK562Eによるアクチン線維束を比較した。野生型及びK562Eともに直径約50nmのアクチン線維束を形成した。K562Eではアクチン線維束が分散して観られたが、野生型ではアクチン線維束が複数集合し易くクライオ電子顕微鏡構造解析に適さないことが判明したので、構造解析の試料調製はダイナミン2K562Eによるアクチン線維束から開始することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.ダイナミン1による微小管制御: 吉川雅英博士(東京大)との共同研究により、周囲に重合したダイナミン1と微小管との超複合体の立体構造解析について、クライオトモグラフィー電子顕微鏡による構造解析が進められた。その結果、ダイナミン1と微小管との結合は相対的位置をきめるようなきっちりしたものではなく、比較的緩く、PHドメインの位置もフレキシブルであることが判った。 2.ダイナミン2によるアクチン制御: 成田哲博博士(名古屋大)との共同研究により、ダイナミン2によるアクチン線維束の立体構造解析に着手した。予備実験としてダイナミン2野生型及びK562Eによるアクチン線維束を電子顕微鏡観察により比較し、ダイナミン2K562Eは、野生型ダイナミン2と同様にの直径約50nmのアクチン線維束を形成するものの、アクチン線維束同士が集合体を形成せず、アクチン線維束が分散して観られたことから、クライオ電子顕微鏡構造解析に適することが判った。 第74回 細胞生物学会大会において、ダイナミンによる微小管制御とポドサイトの形態形成についての研究成果を、また、第60回日本生物物理学会年会において、膜と細胞骨格の動態制御におけるダイナミン重合体についての研究成果を発表した。
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今後の研究の推進方策 |
1.ダイナミン1による微小管制御: 吉川博士(東京大)との共同研究による、ダイナミン1と微小管との超複合体の立体構造解析を引き続き継続する進める。また、ダイナミン1のGTP加水分解に伴う超複合体の構造変化を調べるために、異なるグアニンヌクレオチドの条件(GTP、GDP、GMPPCPなど)における構造解析をすすめる。ダイナミンPHドメインと微小管との結合部位の構造とその変化を精査することにより、ダイナミン1と微小管の相互作用の制御機構を明らかにする。 2.ダイナミン2によるアクチン制御: 成田哲博博士(名古屋大)との共同研究による、ダイナミン2によるアクチン線維束の立体構造解析をすすめる。ダイナミン2K562Eは、野生型と同様のアクチン線維束を形成し、各々のアクチン線維束は分散していることからクライオ電子顕微鏡構造解析に適していることから、ダイナミン2K562Eによるアクチン線維束から解析を進める。また、ダイナミン2によるアクチン線維束形成と、アクチンの凝集体との形成がリンクしている可能性があるので、in vitroで再現したダイナミン2によるアクチン線維束とアクチン凝集体をライブ観察することにより、それらの動態を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品を効率的に使用したため、残額が生じた。 次年度の消耗品の購入に充てる予定である。
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