研究課題/領域番号 |
21K19488
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
崔 龍洙 自治医科大学, 医学部, 教授 (50306932)
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研究分担者 |
渡邊 真弥 自治医科大学, 医学部, 准教授 (60614956)
氣駕 恒太朗 国立感染症研究所, 治療薬・ワクチン開発研究センター, 室長 (90738246)
相羽 由詞 自治医科大学, 医学部, 助教 (60783694)
佐藤 祐介 自治医科大学, 医学部, 助教 (20757265) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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キーワード | Colibactin / CRISPR-Cas13 / Bacteriophage / Cancer |
研究実績の概要 |
本研究は、独自に開発した遺伝子標的型の抗菌カプシド技術を利用して、狙った細菌のみを選択的に取り除く細菌叢の編集の基盤技術の創出を目指した。具体的には、炎症性腸疾患であるクローン病(CD)をモデル疾患として、起因と言われる接着性浸潤性大腸菌(AIEC)の毒素遺伝子を標的としたCRISPR-Cas13a搭載の抗菌カプシドの作製し、腸内細菌叢からAIEC細菌を除去する技術開発を行った。昨年(R3年度)までに、1)AIED菌株6株とそれに感染するファージ3株を分離し、2)モデルファージである溶原ファージ Φ80にlpf遺伝子を標的としたCRISPR-Cas13a搭載した抗菌カプシドの合成を完了した。また、3)CDマウスモデルも構築した。しかし、R4年度になって以下2つの理由で対象細菌をAIEC大腸菌からコリバクチン産生大腸菌に変更することにした。1)AIEC菌は、遺伝型ではなく表現型に基づいて定義された大腸菌であるため、遺伝子標的型の抗菌カプシドで標的にすることが困難であった。2)当初、AIEC菌の標的遺伝子として選定した2つ遺伝子(lpfA、gipA)は必ずしも腸炎と関連していないことが明らかになった。そこで、対象細菌をAIECから炎症性腸疾患に大腸がんを引き起こすコリバクチン産生大腸菌に変更した。コリバクチンは、炎症性腸患者に大腸がんを引き起こすリスク毒素であり、その遺伝子も同定されている。さらに、我々は既にコリバクチン産生大腸菌72株を分離しており、ファージΦ80もこれら多くの株に感染した。幸いに、上記の修正で研究進捗が遅れているものの、ファージΦ80を用いたコリバクチン遺伝子標的型の抗菌カプシドの構築に成功し、in vitroでの標的遺伝子塩基配列特異的な殺菌効果の確認まで完了した。マウスモデルを用いるin vivoでの評価は現在進行中である。
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