研究課題
挑戦的研究(萌芽)
本研究では、自己凝集能を用いたヒトiPS細胞由来肝組織の形成法の確立、ゲノム編集技術を用いて多発肝のう胞症を模倣する疾患ヒトiPS細胞由来肝組織系の構築を行った。肝前駆細胞の成熟化に関係する転写調節因子の探索を進め、KLF15など肝前駆細胞の成熟肝機能を誘導する転写調節因子を同定した。また流体デバイスを用いた凝集培養系の構築の検討を行った。これらを元に、肝のう胞を制御する遺伝子変異と病態との関係を解析できる培養系の確立を進めている。
肝臓病学
多発肝のう胞は難治性の希少疾患であり、根治療法としては肝移植があげられる。しかし、ドナー不足などの問題点も多い。またヒトとマウスの変異遺伝子の機能の種差の違いから、実験動物を用いた病態モデルの構築も進んでいない。本研究で示したヒト多能性幹細胞とゲノム編集技術を用いたin vitro肝のう胞病態解析モデルは、今後の新規原因遺伝子の探索を含めて病気治療の新たな開発に向けた貢献が期待できる。