研究課題
本研究で我々は、ヒト生肺組織から組織幹細胞を単離し、肺胞オルガノイドを作成する実験英の確立に挑んだ。最近、生体の3次元組織構造を反映する幹細胞培養法“オルガノイド培養”が開発され、世界に衝撃をもたらした。呼吸器においては肺胞幹細胞を使った肺胞オルガノイドが開発されたが、この培養系では幹細胞をサポートする肺線維芽細胞を添加する必要があり、細胞の反応や病理現象を再現するには不完全であった。そこで本研究では、病院で採取されたヒト肺組織から肺胞幹細胞を単離し、線維芽細胞や血清を含まない完全合成培地でヒト肺胞オルガノイドを作成する技術の確立を試みた。神戸大学病院呼吸器外科、内科の協力のもと、外科手術で摘出した新鮮なヒト生肺組織の一部を譲り受け、研究所内に持ち込んだ。肺組織を酵素で分解し、単一細胞になるまでほぐした後、MACSカラムを使って肺胞の幹細胞であるAT2細胞を単離した。AT2細胞はマウス肺胞オルガノイド培養条件で培養を試みた。細胞濃度や、足場材であるマトリゲルの条件などを検討した結果、ヒトAT2細胞の培養と肺胞オルガノイドの作成に成功した。しかし残念ながら継代するとスフェアの形状がおかしくなり、状態が良くなかった。ヒト肺胞オルガノイド培養ができるようになったことで、ヒト呼吸器疾患をin vitroで再現できる可能性ができた。そこでブレオマイシンを使った肺線維症モデルの開発を行い。肺細胞のDNA傷害モデルと、肺線維症誘導能の確認をin vitroで行うことに成功した。
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Nature communications
巻: 14 ページ: 4956-4956
10.1038/s41467-023-40617-y
Stem cells (Dayton, Ohio)
巻: 41 ページ: -
10.1093/stmcls/sxad044
https://www.riken.jp/press/2023/20230831_4/index.html