研究課題/領域番号 |
21K19523
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
中津 史 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (50360607)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 炎症性腸疾患 |
研究実績の概要 |
炎症性腸疾患(Inflammatory bowel disease: IBD)は、腸管組織に炎症や潰瘍を引き起こす疾患の総称で、その原因は不明な点が多い。患者数は年々増加しており、病態機序の解明、および治療薬開発は急務である。本研究では、我々が最近同定した新規ストレス応答メカニズムに着目し、炎症性腸疾患の分子標的薬を探索することを目指している。 今年度は、引き続きスクリーニング評価系の構築を行った。本評価系は、我々が新たに見出したストレス応答経路に着目し、その活性化をルシフェラーゼの酵素活性の上昇によって検出するという戦略である。そのため、ルシフェラーゼ活性をノイズを抑えつつ高感度に検出する必要があることから、指標となるルシフェラーゼ活性の検出感度の改善に取り組んできた。ルシフェラーゼフラグメントをN末端に配置する場合とC末端側に配置する場合、そしてそれらをつなぐリンカー配列を様々な組み合わせで評価を行った。リンカーについては長さの異なるフレキシブルリンカーを用いた。また、発光検出に用いる機器に適した培養条件および細胞数の再検討を行った。発現ベクター系の再構築も並行して検討中であり、さらなる改良が必要であると考えられる。 これらに加え、スクリーニング評価に向けた個体レベルでの解析を進めた。イノシトールリン脂質制御遺伝子改変モデル動物を用いたトランスクリプトームデータをもとに解析を行ったところ、特に免疫システムおよび炎症に関わるシグナル伝達経路に関与する遺伝子群に大きな変動が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
スクリーニング評価系の改善のため、ルシフェラーゼフラグメントの配置場所、種々のリンカー、測定に用いる反応試薬、培養条件など、様々な項目の検討を行うことで、ルシフェラーゼ活性を感度良く高S/N比での検出を目指している。
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今後の研究の推進方策 |
スクリーニング評価系の改善を図る。リンカー配列の検討、および発現効率を高めるための改変などを行い、評価レポーターの発光強度をさらに高めることで、評価系の最適化を優先的に行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度に計画していた実験の一部が未完了であることから次年度使用額が発生した。スクリーニング系の改善を優先して進め、当初の実験計画の完了を目指して予算を執行する計画である。
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