研究課題/領域番号 |
21K19527
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
宮川 周士 大阪大学, 微生物病研究所, 招へい研究員 (90273648)
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研究分担者 |
前田 晃 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教員 (00319708)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | Hanganutziu-Deicher抗原 / CMAH / CRISPR/Cas3 / ブタ線維芽細胞 |
研究実績の概要 |
近年、世界中でドナー不足が深刻な問題となっている。一方、バイオ人工臓器(異種移植)の開発に関しては素晴らしいものがある。昨年ブタの腎移植が2例、そして今年ブタ心移植がアメリカで行われ60日生着した。これらは遺伝子を改変したブタからの臓器移植で、すでに10個の遺伝子が改変されている。また、内4つの遺伝子がknockout (KO)されている。このKO法の開発は、かつての相同組み替え法では困難を極めたが、幸い10年前より新法(ZFN法、TALEN法、CRISPR法)によるKO法が我々も含めブタでも成功している。 しかし、各国の多くのチームが使っているCRISPR/Cas9法のブタへの応用は進んでいるが、“特許”の問題が大きく絡んでいる。今回、我々のチームとしてはこれ以外の方法、つまり新規・国産のCRISPR/Cas3法を応用して、遺伝子編集ブタの作出を進めることを目的とする。 Cas3法で、比較的検定しやすいHanganutziu-Deicher抗原の遺伝子Cytidine monophosphate-N-acetylneuraminic acid hydroxylase(CMAH)に対してKOを試みている。 Exon7及びExon8をターゲットにExon7の5’、Exon8の3’側にsiteを設定し、pBS-U6-crRNAを作出した(#52と#64)。 現在、そのKO効率の検定を試みている。(6x105個の)ブタ線維芽細胞に、pX-Cascade,BPNLS-hCas3,pBS-U6-crRNAをそれぞれ0.5ul導入する方法をとり、コロニーを作出し、Sequenceでdelを確認する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
CRISPR/Cas3法のブタ細胞での困難性。遺伝子導入した結果として、小さなdelしか出来ないCas9法に比して、Cas3法では、多くの場合約300bp以上のdelが発生し、細胞の核に対してダメージを与え、それに伴いアポトーシスを誘導し、結果的にKO細胞のcloningの効率が落ちていることが考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
CRISPR/Cas3法を継続し、他の遺伝子、例えば、成長ホルモンのレセプター(GHR)のKOにも挑戦する。 また、新しいKO法、例えばCas12a(Cpf1)の場合はcrRNA が41-44bpでありオフターゲット効果が少ない事になるが、PAM siteがTTTVと特殊で、切断効率はCas9より落ちるとされている。この様な方法も取り入れて、総合的に新しいKO法に取り組んでいく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度の挑戦的萌芽採択月が7月であり、先に採択された他の研究プロジェクトが遂行していたため。
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