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2022 年度 実施状況報告書

ストレス応答に学ぶ新たな臓器再生へのエピジェネティック制御アプローチ

研究課題

研究課題/領域番号 21K19533
研究機関長崎大学

研究代表者

李 桃生  長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 教授 (50379997)

研究分担者 後藤 信治  長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 助教 (50186889)
研究期間 (年度) 2021-07-09 – 2024-03-31
キーワードイモリ / エピジェネティック制御 / ストレス応答
研究実績の概要

実験1、健常成獣マウスとイモリ個体を、それぞれ低濃度酸素(8% O2)、正常酸素(20% O2)、または高濃度酸素(80% O2)状態下に2時間おいた後、肺および心臓組織を採集した。それぞれの臓器組織内における代謝関連因子およびエピジェネティック関連因子の発現の違いについて、RNA-seqまたはRT-PCR法で定量評価した。その結果、低濃度酸素刺激により、イモリ肺組織内のDnmt3α、Mbd2、Mbd3、Hdac2の発現は有意に上昇し、マウス肺組織内ではDnmt1とDnmt3αの発現が有意に低下していることが判明した。高濃度酸素下では肺組織内におけるこれらエピジェネティック関連因子の発現変化が軽微であることも判明した。これらの成果を纏めた論文を現在投稿中である。
一方、心臓組織については、RNA-seq解析を行った。その結果から、特に代謝や酸化還元関連分子の発現変化がマウスとイモリ共に多く認められたが、さらなる詳細な解析を現在進行中である。
実験2、イモリ下肢組織から組織細胞の単離培養と増幅を行った。健常イモリの下肢筋肉組織を採集し、我々の改良した培養方法で、イモリ下肢組織から数ヶ月間の継代培養でコンタミネーションなく、効率良く細胞増幅することに成功した。また、培養増幅した細胞は、凍結保存とRecoveryの検証も行った。さらに、培養増幅してきた細胞は、老化現象もなく、放射線照射や酸化ストレス刺激などに対する応答も実験で確認できた。これらの成果を論文に纏められ、現在投稿中(Revision)である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

イモリとマウスの個体および組織細胞レベルで、酸素や放射線刺激に対するエピジェネティック制御などの比較検討が順調に進み、予想よりも多くの知見を得られた。
また、イモリから質のよい組織細胞を効率よく培養増幅することに成功し、今後の研究が大きく加速すると思われる。

今後の研究の推進方策

イモリにおける酸化ストレスや放射線照射などに対する応答機構の特性をさらに明らかにするため、以下の実験を行う:
1、心臓組織のRNA-seq解析結果を詳細に分析し、イモリにおける代謝やエピジェネティック制御機構の特性(マウスとの比較)を見出す。
2、イモリ組織由来細胞を用いて実験を行い、特に放射線、酸素、飢餓などのストレス刺激に対するレスポンスとその分子機構(マウスやヒト由来細胞との比較する)を詳細に調べる。

次年度使用額が生じた理由

2022年度に予定していた論文掲載料の支払いが2023年度の支払いとなったことで、残額が発生した。よって、残額は論文掲載料に充てる予定である。

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公開日: 2023-12-25  

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