研究課題
重症の短腸症候群に対する唯一の根治療法となりうる小腸移植は,小腸の他の臓器に比して強い拒絶反応のため移植後の管理に難渋しており,実施例はごく少数に限られているのが現状である.十分な治療法がなく,予後不良である重症の短腸症候群に対する新規治療法開発へのニーズは大きい.本研究では,自己の小腸由来細胞を移植細胞として用いることによって,生涯の免疫抑制を要さない新規移植療法の開発を目指し,短腸症候群モデル動物における知見の創出とヒトへの応用へ向けた研究基盤の構築を目的とした.これまでに開発してきた致死的な短腸症候群モデルラットの切除する腸管長の改変や,周術期における経腸栄養剤の併用を含めた術後管理の改善によって,解析効率の上昇へとつながった.また,teduglutideなどのGLP-2アナログ製剤の効果を検証し,絨毛伸長への有効性を確認した.小動物レベルから大動物レベルへの移行に先立って,小動物レベルにおける移植先組織の移植前処置の条件をex vivo,in vivoで検証し,組織障害を低減しつつ効率的な処置が可能となった.この手法を大動物へと応用し,同様にex vivo,in vivoでの課題抽出から,従来は困難であった大動物レベルでの上皮剥離効率向上へとつながっている.大動物における腸管切除を含む手術も生存実験として実施可能となり,本研究によって,ヒトへの応用へ向けた研究基盤が構築された.
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (13件) (うち国際共著 1件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (21件) (うち国際学会 11件、 招待講演 4件)
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