研究課題/領域番号 |
21K19556
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
佐藤 信吾 東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 講師 (40462220)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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キーワード | 整形外科 / メカニカルストレス / 分泌型マイクロRNA / 宇宙実験 |
研究実績の概要 |
1) メカニカルストレス・重力の減少により発現が変動する血中分泌型マイクロRNA(以下miRNA)の同定:研究代表者らは、尾部懸垂や後肢の長期固定(不動化)により後肢へのメカニカルストレスを減少させ、後肢の骨量・筋量の減少を誘導できるマウスモデルを確立している。2021年度は、これらのマウスから採取した血清サンプルもしくは血漿サンプルを用いて、血中miRNAの網羅的発現解析を実施した。なお、採血管にヘパリンが含まれるとcDNA合成が阻害されてしまうが、ヘパリン除去を行うことで、問題なくmiRNAの網羅的発現解析が実施できることを確認した。また、溶血がsmall RNA発現解析に与える影響も検討した。さらに我々は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で、宇宙ステーション「きぼう」内の飼育装置で飼育されたマウスの解析を計画し、予備的検討ならびに宇宙実験を実施した。
2) メカニカルストレス・重力の増加により発現が変動する血中分泌型miRNAの同定:研究代表者らは、JAXAの人工過重力環境飼育装置を利用し、2Gおよび3G環境で2~4週間飼育したマウスの骨量・筋量解析を実施した。また、これらのマウスから採取した血清サンプルもしくは血漿サンプルを用いて、血中miRNAの網羅的発現解析を実施した。
3) 個体の老化により発現が変動する血中分泌型miRNAの同定:研究代表者らは、100週齢の老齢マウスから採取した血清サンプルを用いて、血中miRNAの網羅的発現解析を実施した。また、得られたデータを分析した結果、個体の老化によって血液中の発現が増減する多数の分泌型miRNAを同定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り概ね順調に研究は進行している。
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今後の研究の推進方策 |
1) メカニカルストレス・重力の減少により発現が変動する血中分泌型miRNAの同定:2021年度に引き続き、尾部懸垂モデルマウスの血中miRNA網羅的発現解析によって得られたデータの分析を進め、メカニカルストレスの減少により発現が変動する血中分泌型miRNAの同定を目指す。また、JAXAと共同で宇宙ステーション「きぼう」内の飼育装置で飼育されたマウスの血中miRNA網羅的発現解析を実施し、重力の減少により発現が変動する血中分泌型miRNAの同定も目指す。
2) メカニカルストレス・重力の増加により発現が変動する血中分泌型miRNAの同定:2021年度に引き続き、人工過重力環境飼育マウスの血中miRNA網羅的発現解析によって得られたデータの分析を進め、メカニカルストレスの増加により発現が変動する血中分泌型miRNAの同定を目指す。
3) 同定したメカニカルストレス応答miRNAが老化を誘導するメカニズムの解明:老齢マウスの血中miRNAプロファイルと、1)および2)で得られた血中miRNAプロファイルとを比較することで、個体の老化を誘導しうるメカニカルストレス応答miRNAを同定する。また、webでアクセス可能なデータベース等を利用して、同定したmiRNAの生体臓器に対する生理作用を予測し、同定したmiRNAが標的臓器の老化・機能低下に与える影響をin vitroならびにin vivo実験を通して明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
血中分泌型マイクロRNAの網羅的発現解析の一部が2021年度内に完了しなかったため、次年度使用額が生じた。2022年度も網羅的発現解析を継続して行う予定であり、2021年度の未使用額と2022年度の助成額の全額は2022年度末までに使用される見込みである。
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