研究課題
1)メカニカルストレス・重力の減少により発現が変動する血中分泌型マイクロRNA(以下miRNA)の同定:研究代表者らは、尾部懸垂や後肢の長期固定(不動化)により後肢へのメカニカルストレスを減少させ、後肢の骨量・筋量の減少を誘導できるマウスモデルを確立している。2021年度に引き続き、2022年度もこれらのマウスの血中miRNA網羅的発現解析によって得られたデータの分析を進め、メカニカルストレスの減少により発現が変動する血中分泌型miRNAを同定した。さらに研究代表者らは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で、宇宙ステーション「きぼう」内の飼育装置で飼育されたマウスの血中miRNA網羅的発現解析を実施し、重力の減少により発現が変動する血中分泌型miRNAの同定に成功した。2)メカニカルストレス・重力の増加により発現が変動する血中分泌型miRNAの同定:2021年度に引き続き、2022年度もJAXAの人工過重力環境飼育装置で飼育されたマウスの血中miRNA網羅的発現解析を実施し、メカニカルストレスの増加により発現が変動する血中分泌型miRNAを同定した。3)同定したメカニカルストレス応答miRNAが老化を誘導するメカニズムの解明:研究代表者らは、100週齢の老齢マウスの血中miRNA網羅的発現解析をすでに実施し、個体の老化によって血液中の発現が増減する多数の分泌型miRNAを同定している。2022年度は、上記の1)および2)で得られたメカニカルストレス減少環境もしくは過重力環境で飼育されたマウスの血中miRNA発現プロファイルと比較することで、個体の老化を誘導しうるメカニカルストレス応答miRNAを計5種類同定した。また、これらのmiRNAが筋骨格系細胞(骨芽細胞、破骨細胞、筋芽細胞)の増殖能・分化能に与える影響を検討した。
3: やや遅れている
JAXAと共同で実施する宇宙実験に遅れが生じたため。
同定したメカニカルストレス応答miRNAが老化を誘導するメカニズムの解明:2022年度に引き続き、webでアクセス可能なデータベース等を利用して、同定したmiRNAの生体臓器に対する生理作用を検討する。また、同定したmiRNAが標的臓器の老化・機能低下に与える影響をin vitroならびにin vivo実験を通して明らかにする。
JAXAと共同で実施する宇宙実験に遅れが生じ、計画していた全ての実験が2022年度内に完了しなかったため。2022年度の未使用額は、同定したmiRNAの生理作用解析に関する実験に使用される見込みである。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 3件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)
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