研究課題
好酸球性副鼻腔炎、好酸球性中耳炎では、それぞれの器官に多数の好酸球浸潤を認めている。これら集積した好酸球は、慢性炎症やリモデリング形成において主要な役割を担っているとされる。好酸球の組織への影響は、顆粒放出(脱顆粒)による細胞障害性やエフェクター細胞として血小板、マスト細胞の活性化、その結果、炎症の増悪に関与していると考えられている。好酸球自身がアポトーシスやネクローシスと異なるプログラム死、 Etosis (extracellular trap cell death)を起こすことが判明し、このEtosisが好酸球炎症やアレルギー炎症の増悪に関与していると考えられている。本研究では、組織に強い浸潤を起こしている好酸球と末梢血中の好酸球は同じであるか、それとも異なっているのか、違った臓器に浸潤している好酸球とはどうであるのか、やはり単一の細胞であるのかをSingle RNA seqを用いて明らかにしようとした。好酸球性副鼻腔炎の鼻茸と好酸球性中耳炎の耳茸・中耳貯留液・粘稠な耳漏からそれぞれ好酸球を分離した、ともに好酸球の分離は、少量ながら可能であった。しかし末梢血からの好酸球分離は、不可能であった。そこで得られた細胞群別single RNA seqを行った。同じ好酸球でありながら鼻茸由来の好酸球と中耳由来の好酸球では、遺伝子発現が異なったいた。また得られたsingle cellから上皮細胞、B細胞、T細胞、基底細胞分画領域を同定し、好酸球性副鼻腔炎と好酸球性中耳炎で遺伝子発現が異なるかどうか調べ、現在解析中である。B細胞、T細胞については末梢血から分離することができ、鼻茸および中耳物からの細胞との違いを検討中である。
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