研究課題/領域番号 |
21K19568
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
赤松 秀輔 京都大学, 医学研究科, 准教授 (20767248)
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研究分担者 |
佐野 剛視 京都大学, 医学研究科, 助教 (60866309)
後藤 崇之 京都大学, 医学研究科, 助教 (90806605)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 前立腺癌 / 神経内分泌前立腺癌 / 可塑性 |
研究実績の概要 |
今回の研究で用いる独自に樹立した新規神経内分泌前立腺癌(NEPC)細胞株KUCaP13について論文を作成し受理された。 研究の進捗状況については、まずKUCaP13にARElucをレンチウイルスを用いて導入した。ARElucは、アンドロゲンレセプター(AR)の活性に連動してluciferaseが発現し、luciferase assayで発光を確認することでAR活性を測定できる最も鋭敏かつ簡便な実験系である。続いて陽性コントロールとしてKUCaP13_ARElucにレンチウイルスでAR遺伝子を導入した。ウエスタンブロットでARが発現していることを確認した。このAR強制発現株を用いてluciferase assayを行い、発光を確認することができた。このことから、KUCaP13においてもARElucによりAR発現を感知できることが証明できた。また陰性コントロ-ルの細胞もレンチウイルスを用いて作成済である。 今後は本学の「創薬拠点コアラボ」が保有している約2500種類の既存薬および機能既知化合物を用いてドラッグスクリーニングを行う。現在、ドラッグスクリーニングにむけて至適条件を検討中である。今回の化合物スクリーニングでは、1stスクリーニングで2500種類から数種類程度まで候補化合物が絞られると予想される。2ndスクリーニングを実施の上、ヒット化合物によりARを標的とした治療が可能となるか検証予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ドラッグスクリーニングを行うために必要な細胞の作成は終了し、至適条件は検討中であるものの、ARの発現をLuciferase assayで感知できることは確認できているため。
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今後の研究の推進方策 |
①化合物スクリーニングの実施:KUCaP13_AREluc細胞に各化合物および合成アンドロゲンを添加し、ルシフェラーゼアッセイで有意に発光増強を認めた化合物を、ARを再発現させたヒット化合物として選択する。化合物には本学の「創薬拠点コアラボ」が保有している約2500種類の既存薬および機能既知化合物を用いる。今回の化合物スクリーニングでは、1stスクリーニングで2500種類から数種類程度まで候補化合物が絞られると予想される。 ②2ndスクリーニング:候補化合物をそれぞれ単剤でKUCaP13_AREluc細胞に投与し、ルシフェラーゼ活性だけでなく、mRNA、蛋白質レベルでもARやPSAおよびNSEなどの発現に変化があるか確認する。候補化合物が複数ある場合はそれらの組み合わせの評価も行う。また、各化合物が既存のNEPC細胞株NCI-H660でも効果を示すか確認する。 ③候補薬剤とARPIの併用投与:②で検証された化合物をin vitro、in vivoでエンザルタミドと併用してKUCaP13に投与し、細胞増殖が抑制されるか評価する。効果が見られた場合、申請者が留学していたバンクーバー前立腺センターが保有する数系統のNEPCの患者検体由来ゼノグラフトでも効果を検証する。 ④作用機序の解明:AR再発現の機序の解明のため、候補化合物投与前後のKUCaP13を用いてRNAシーケンス、ATACシーケンス解析を行い、候補化合物の投与でどのような遺伝子発現変化やエピゲノムの変化が生じたか検討する。
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