研究課題/領域番号 |
21K19570
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
辻川 元一 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (70419472)
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研究分担者 |
秋山 雅人 九州大学, 医学研究院, 講師 (10757686)
佐藤 茂 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (70738525)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 器官発生 / オルガノイド / ヒトiPS細胞 / 眼分化 |
研究実績の概要 |
ヒトの眼の発生機構については不明な点が多い。これは発生系譜の異なる多くの組織が集合して形成される器官のモデルが存在せず、発生期の各組織の相互作用のあり方が不明であることが原因である。我々はヒトiPS細胞から眼に関する組織の原基すべてが発生し、さらに、それが自律的に同心円状の構造を形成するSEAM法という誘導法を開発した。SEAMは発生系譜が異なる各組織が秩序だって整列する眼器官形成のモデルであるといえる。第1層は中枢神経、第二層は網膜、第三層は角膜上皮、第四層は皮膚上皮であり、第三層付近に神経堤が発生してくる。我々はこのSEAM形成を指標とした眼の発生を対象としたForward Genetics Screeningにより、眼の発生に関わる分子の網羅的な検討を通して、現在不明である眼形成における分子(シグナル)経路を明らかにしていく。 本年度に於いては標準的iPS細胞株である201B7株に対して科学変異物質ENUを用いて全ゲノム上にランダムに点変異を導入する、ランダムミュータジェネシスを行った。ENUは強力な変異誘導物質であり、iPS細胞を死滅させるため、バイアビリティが落ちつつも、単細胞からスフェアを回復できるような条件を検討した。その結果としての条件決定を行ったのと同時に、その際のプレリミナリーな導入を行った株に対して、てヒト眼オルガノイドであるSEAMを誘導し、その形態の異常を指標として異常株の選択を行うことができた。その中の一つに第2層に異常が認められる株を単離することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
条件を振り、iPS細胞がバイアビリティを保持するぎりぎりのENU濃度、および、暴露期間を使用することで少なくともランダムミュータジェネシスがヒトiPSについても有効であることを示すことができた。また、これに、SEAMによる眼原基オルガノイド分化を行うことができ、さらに、分化異常体を導出することができている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度に於いてはこれを組織的に行うことにより、さらに数多くの変異体を同定していく。また、SEAM異常をきたす変異体に対しては全ゲノムシークエンスを実施し、責任変異を同定するのが次の目的となる。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウィルス感染のため、九州大学との共同研究を行うことができなかったため。そのため、実験は小規模でおこわざるを得なかったが、幸いにもプレリミナリーな検索に於いても結果を出すことができた
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