研究課題/領域番号 |
21K19576
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
木村 和哲 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (00423848)
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研究分担者 |
家田 直弥 北海道大学, 薬学研究院, 准教授 (00642026)
片岡 智哉 千葉科学大学, 薬学部, 准教授 (20737928)
中川 秀彦 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 教授 (80281674)
堀田 祐志 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 講師 (90637563)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 光応答性NOドナー / 下部尿路機能障害 / 赤色光 |
研究実績の概要 |
下部尿路機能障害は患者の生活の質を著しく低下させる。特に膀胱頸部や尿道の弛緩不全による尿排出障害は患者の生死に関わるため治療介入が必要となる。膀胱頸部や尿道を弛緩させる主な因子のひとつとして一酸化窒素(NO)があげられる。このことから、NOを標的とした治療薬の可能性が示唆されるが、通常のNOドナーは全身作用があり血圧低下などの副作用が生じることがある。また排尿時にのみ薬効を発現させたいが、通常のNOドナーでは薬効発現時期のコントロールはできない。これまでに研究者らは光応答性NOドナ―を開発してきた。光応答性NOドナ―は、光を当てている部位のみNOを放出することが可能である。また、光を当てている時間のみNOが放出されるため、薬効発現のタイミングも制御できると考えられる。本研究課題では赤色光応答性NOドナ―であるNORD-1を用いて、下部尿路への応用について検討を実施した。NORD-1を浸透したラット膀胱頸部標本、ラット内尿道標本を用いてisometric tension studyを実施した。前収縮した標本に対して光照射を行うことで、ラット膀胱頸部、内尿道の弛緩反応が確認できた。その弛緩反応の強さは、光照射の強さにより制御が可能であることも明らかにした。さらに、光照射を止めることで、各組織の張力が戻ることから、光照射を行っている時間のみ弛緩反応が見られていることも明らかにした。次に神経障害に起因する溢流性尿失禁・低活動膀胱様症状を呈する両側副神経障害モデルラットを作製し、摘出した内尿道のNOドナーSNPに対する反応性を評価した。その結果、sham手術を行ったラット内尿道に比べてSNPに対する反応が弱くなることも見出した。神経障害モデルの内尿道にNORD-1を処置し、光を照射したところ十分な弛緩反応が観察された。
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