本研究では、胚発生に長時間を要する動物をあえて発生研究に用いて「時間分解能」高く発生現象を観察し、聴覚器である内耳蝸牛における内耳細胞の多様性形成のメカニズムの解明を目指した。対象として150日の発生期間を要するコモンマーモセットを用いることにより従来のモデル動物であるマウスより高い時間分解能で内耳発生を検討することが可能であった。網羅的遺伝子発現解析を組み合わせることにより霊長類と齧歯類との間で内耳発生に関する多数の種差が存在することが明らかになり、本研究手法を用いた今後の内耳研究への応用可能性が広がるとともに、今後の治療法の開発につなげられる可能性が示唆された。
|