研究課題/領域番号 |
21K19583
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研究機関 | 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所) |
研究代表者 |
越智 広樹 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 運動機能系障害研究部, 研究員 (30582283)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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キーワード | グリア細胞 / リハビリテーション |
研究実績の概要 |
中枢神経損傷後のリハビリテーション(以下、リハビリ)介入により運動機能の回復が得られることはよく知られており、ニューロンの可塑性が亢進することで、神経回路の再構築が促され機能回復に繋がると考えられているが、その分子メカニズムは不明である。リハビリテーションによる神経回路の再構築には、周囲細胞、特にグリア細胞や血管による支持が重要と考えられるが、リハビリがグリア細胞に及ぼす影響に関しては全く不明である。そこで本検討では、シングルセル解析に基づき、リハビリ介入に応答し形成される新たなグリア細胞サブポピュレーションを発見し、検出された細胞集団特異的なバイオマーカーを探索することで、リハビリによる神経回路の再構築メカニズムに迫る。 今年度は、以下の研究内容に関して実施した。 1)脊髄損傷モデルに対する効果的なリハビリテーション方の探索:脊髄損傷モデルマウスを作成し、リハビリテーションを実施することで、その効果を組織学的、行動学的に検討した。いくつかのリハビリテーション法を検討し、もっとも機能ならびに組織学的回復が効果的と考えられた方法を探索した。 2)グリア細胞シングル解析に向けた予備的検討:これまでマウス成体脊髄は髄鞘が多く、組織量が少ないことから、細胞を効率的に単離することは困難であった。そこで、今年度は、成体マウスの脊髄から効率よく細胞を単離する方法を検討した。加えて、脊髄損傷モデルにおいても同様の方法を用いて、細胞単離を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
成体マウスの脊髄から細胞を純度よく単離する方法を確立するのに時間を要したため、当初予定していたシングルセル解析を実施することができなかった。しかし、単離方法の確立が問題なく行えたため、シングルセル解析の準備を整えることはできた。解析自体は次年度に予定しており、全体としての実験計画に関しては問題なく進行するものと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
令和四年度は、昨年度の実験内容を継続して実施するとともに、更に以下の内容に関して研究をすすめる。 1)リハビリテーションに応答する新規グリア細胞サブポピュレーションの探索:脊髄損傷モデルに対してリハビリテーション介入を行い、シングルセル解析を行うことで特異的に発現するグリア細胞のサブポピュレーションを探索する。 2)リハビリテーション応答性の細胞特異的マーカーの探索:上記のシングルセル解析を通して、リハビリテーションに応答する細胞群において、特異的に発現するマーカー遺伝子を探索する。加えて、その機能をin vitro, in vivoにおいて検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
成体マウスの脊髄から細胞を純度よく単離する方法を確立するのに時間を要したため、今年度予定していたシングルセル解析を実施することができなかった。しかし、単離方法の確立が問題なく行えたため、シングルセル解析の準備を整えることはできた。解析自体は次年度に予定しており、その解析費分を次年度使用額として計上した。
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