研究成果の概要 |
ヒト子宮内膜検体を収集し,病変部から間質細胞と腺細胞を100個〜数千個程度精製回収し,ChILT法でエピゲノム解析(H3K27ac,H3K27me3,DNAメチル化)とトランスクリプトーム解析を試験的に行った。その結果、疾患群に特徴的な遺伝子発現変動と、相関するエピゲノム変化を見出した。これらの遺伝子発現変化およびそのエピゲノム変化は、新たな疾患病勢マーカーあるいは治療標的となることが期待された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
子宮内膜は、性周期にしたがって増殖と分化を繰り返し、妊娠成立に必須であると共に、癌や子宮内膜症などの増殖性疾患の母地にもなり、その病態解明は同疾患の治療にとどまらず広く医学・再生医学に重要な知見をもたらすと期待される。一方で,子宮内膜に限らず、少数細胞を初代培養や株化により増幅して解析すると、遺伝子発現が変化し、それに伴ってエピゲノムも元病変の状態から変化するため,可能な限り生体試料をそのまま解析することが望ましい。そこで、本研究の少数細胞エピゲノミクス技術により,培養を行わずに病変部の状態に近い細胞を解析した。これらの成果は、今後、様々な子宮内膜関連疾患の解析に有用な基盤的知見である。
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