ミニモデリングは、骨リモデリングとは異なる様式で誘導される新規の骨形成様式として注目を浴びており、主に抗スクレロスチン抗体と活性型ビタミンDアナログで誘導される。本研究計画では、ミニモデリングの誘導機序等について検索した。令和4年度では、前年度の解析結果であるエルデカルシトール投与ラットの骨幹端部よりも骨端部の骨梁でミニモデリングが高頻度で誘導されること、また、ミニモデリングで生じた新生骨ではスクレロスチン陽性骨細胞の割合が著しく低下していたことに加えて、今年度では、ミニモデリングで誘導された骨基質における骨細胞ネットワークが規則正しく配列しており、幼若骨よりも緻密骨の骨細胞配列に近いことを明らかにした。さらに、令和4年度では、副甲状腺ホルモン製剤(テリパラチド)よりも副甲状腺ホルモン関連ぺプチド製剤(アバロパラチド)のほうがミニモデリングを効率的に誘導することを見出している。具体的には、アレンドロネートを投与することで破骨細胞性骨吸収を抑制したマウスに、アバロパラチドを投与すると、骨リモデリングによる骨形成は低下したままであったが、ミニモデリングによる骨形成は亢進することを認めている。また、アレンドロネート処理マウスにアバロパラチドを投与すると、前骨芽細胞を含む間葉系細胞由来の細胞群が増加していること、一方、対象群と比較して、スクレロスチンの発現・陽性細胞に大きな変化が認められなかったことから、アバロパラチドによるミニモデリングは前骨芽細胞を含む間葉系細胞の関与があることが示唆された。すなわち、ミニモデリングは、スクレロスチン発現抑制で誘導されるだけでなく、骨芽細胞前駆細胞による関与・誘導も考えられ、そのメカニズムについて、引き続き、検索を進めている。
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