研究課題/領域番号 |
21K19588
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
水田 健太郎 東北大学, 歯学研究科, 教授 (40455796)
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研究分担者 |
大町 真一郎 東北大学, 工学研究科, 教授 (30250856)
宮崎 智 東北大学, 工学研究科, 助教 (10755101)
飯島 毅彦 昭和大学, 歯学部, 教授 (10193129)
星島 宏 東北大学, 歯学研究科, 准教授 (90536781)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | セデーション / 人工知能 |
研究実績の概要 |
近年、医療現場における鎮静麻酔の利用件数は増加の一途を辿っており、歯科治療、消化管内視鏡検査、MRI検査などの際に利用されている。しかし、 麻酔科医のマンパワーは世界的に不足しており、鎮静麻酔の大多数が麻酔管理に不慣れな非麻酔科医により実施されている。本研究では、麻酔科医が経験則で行っている鎮静の麻酔深度の調節を、分析力と予測力を兼ね備えた人工知能に置き換え、患者の特性、鎮静中の呼吸状態、患者の鎮静深度に合わせて鎮静薬の投与速度を自動制御するロボット鎮静システムを開発するものである。特に、上気道閉塞をはじめとする鎮静中の有害事象の発生を事前に予測・予防しながら個々の患者の身体的特性(身長、体重、年齢、性別、基礎疾患、常用薬、飲酒歴など)に応じて鎮静薬(プロポフォール、ミダゾラム)の投与量・時期を自動制御することを目標に掲げ、本年度は以下の研究を中心に行った。 鎮静麻酔データの新規収集:東北大学病院において静脈内鎮静法(静脈麻酔)を受ける患者を対象に、鎮静麻酔管理中に収集された生体情報モニタのデータ(血圧、心拍数、脈拍数、SpO2、呼吸数、EtCO2、BIS値、軽胸壁インピーダンス)を数値データとして抽出した。 データの機械学習:鎮静麻酔データを教師データとともに人工知能に機械学習させ、鎮静薬投与の自動制御アルゴリズムの構築を開始した。具体的には、数十秒後に起こるバイタルサイン変動を予測する手法の開発を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
過去の鎮静麻酔データの収集・抽出方法の確立に時間を要しているものの、概ね順調に進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
1.過去の鎮静麻酔データの収集:過去10年間に施行された成人の鎮静麻酔データを、電子カルテ及び麻酔チャートから収集する。収集するデータは、患者情報(身長・体重・年齢・性別、基礎疾患など)、バイタルサイン(血圧、心拍数、SpO2、EtCO2、呼吸数、BIS値)、麻酔薬の投与量(プロポフォール、ミダゾラム)とする。 2.鎮静麻酔データの新規収集の継続:静脈内鎮静法を受ける患者を対象に、通常の生体情報モニタのデータ(血圧、心拍数、脈拍数、SpO2、呼吸数、EtCO2、BIS値、胸壁インピーダンス)を取得し、呼吸状態と鎮静深度を詳細に測定する。また教師データを収集するため、歯科麻酔科医が患者の鎮静度を観察・評価し経時的に記録する。 3.データの機械学習と全自動ロボット鎮静システムの構築:過去データと新規取得データの双方の鎮静麻酔データを教師データとともに人工知能に機械学習させ、鎮静薬投与の自動制御アルゴリズムを構築中である。鎮静薬投与の自動化にあたっては、生体情報モニターや呼吸モニターから得られるバイタルサインデータを各モデルに経時的に入力するため、再帰型ニューラルネットワークを活用する。また、本システムでは異質な情報を処理する必要がある。そこで、言語情報と視覚情報を共通な空間に埋め込む手法を発展させ、異質な情報から重要な特徴を抽出する手法を開発する。さらに、システムの頑健性の強化と高精度化のために、これまでの研究成果を活用し、局所的な特徴に着目できる機能の付与、 およびモデルの多重化を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究のデータ取得に際し、昭和大学病院への出張を予定していたが、コロナウイルス感染症蔓延の影響で関東地方への出張が一時期制限されたため、旅費の使用が減少した。また、現地で使用する予定であった物品の購入も一部次年度以降に先送りとなった。
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