研究課題
現在一般的に臨床応用されている細胞をリソースとしないサイトカインや成長因子などを応用した歯周組織再生療法は、再生の範囲に限界がある。再生の適応範囲を広げるため、自己歯根膜組織由来幹細胞(PDL-MSC)をシート状に加工してヒトへの移植を実施し、安全性と有効性を申請者らは確認している。PDL-MSCの確保には患者の抜歯が必要不可欠であり、また、iPS細胞には遺伝子変異のリスクがあることから、免疫拒絶のないMSCの細胞ソースとしてES細胞に注目した。レーザーはphotobiomodulationなどの生物学的効果を持つことが明らかになっている。すでにMSCにレーザーを照射することによって、照射条件によって細胞増殖が促進すること、未分化マーカーであるOCT4の発現が上昇すること、骨分化に有利となるRunx2、Osterixの発現上昇および石灰化が促進することが明らかになっており、照射条件によってMSCの分化制御を行える可能性が考えられる。ES細胞への適応の前段階として、PDL-MSCに対してEr:YAGレーザー照射による光エネルギーの応用を評価した。6Jもしくは8Jでの照射によって、細胞増殖活性が増殖すること、また、3J、6Jでの照射では、照射回数によっては石灰化誘導を促進すること、分化に関する遺伝子発現が変化することを見出した。今後、ES細胞由来PDL-MSCを確立し、本結果に基づいて光エネルギーによって活性化したphotobiomodulation活性型ES細胞由来PDL-MSCを確立する。ES細胞由来MSCを骨芽細胞誘導培地にて培養を行い、各条件のダイオードレーザーを照射し、アルカリフォスファターゼ活性の評価および骨芽細胞分化、歯根膜分化の指標となる遺伝子発現の変化を評価する。
3: やや遅れている
ES細胞の前段階としてPDL-MSCでの光エネルギーの影響の評価に時間がかかっているため。
ES細胞由来PDL-MSCの分化、培養技術を確立する。
光エネルギーを応用した、ES細胞由来PDL-MSCの分化、培養技術を確立するため。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 2件、 招待講演 6件)
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