研究課題/領域番号 |
21K19593
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
今里 聡 大阪大学, 大学院歯学研究科, 教授 (80243244)
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研究分担者 |
北川 晴朗 大阪大学, 大学院歯学研究科, 助教 (50736246)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 歯学 / 歯科材料学 / バイオフィルム / 細胞外DNA / バイオターゲティング |
研究実績の概要 |
令和4年度は、令和3年度までに得られた成果に基づいて、まず、0.8、8、または40μMの濃度のDNase溶液にポリマー粒子を浸漬後、凍結乾燥処理を施し、DNase担持ポリマー粒子を得た。得られた各DNase担持ポリマー粒子を、緩衝液に1、3、7、14、および28日間浸漬し、粒子からのDNase溶出性を評価した。その結果、0.8、8μMの濃度のDNase溶液を使用して担持させた場合、粒子からのDNaseの溶出が3および7日間しか持続しなかったのに対して、40μMの濃度のDNase溶液を使用した場合では、DNaseの溶出が28日間持続することを確認した。 つづいて、40μMのDNase溶液に浸漬することで作製したDNase担持ポリマー粒子を、細菌培養用培地に28日間浸漬した。得られた溶出液にStreptococcus mutansを播種し、ポリメチルメタクリレート(PMMA)の硬化レジンを菌液に浸漬した。48時間培養後にPMMAレジン上に形成されたバイオフィルム内の細菌数およびタンパク、糖の定量を、それぞれコロニーカウント法、BCA比色法、およびフェノール硫酸法により定量したところ、DNase溶出液存在下で培養を行うと細菌数、タンパク、および糖が有意に減少することが分かった。さらに、培養後のバイオフィルムにLIVE/DEAD染色を施して共焦点レーザー顕微鏡(CLSM)観察を行い、画像解析によりバイオフィルムの厚みや生菌率を計測したところ、DNase溶出液存在下で培養を行うことでバイオフィルムの厚みは減少したものの、生菌率はDNase溶出液存在下および非存在下の間で有意差が認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度の研究実施計画に則り、DNase担持ポリマー粒子からのDNase溶出性およびバイオフィルム抑制効果を検討したところ、前述のように、粒子からの持続的なDNaseの溶出によりS. mutansバイオフィルムを抑制できることが明らかとなり、当初想定していた通りの結果が得られた。 以上のことから本研究の進捗は、おおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度に得られた結果に基づいて、DNase担持ポリマー粒子から溶出するDNaseのDNA分解作用を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ポリマー粒子へのDNaseの担持条件を確定するのに時間を要したことから、当初想定していたRhodamine B染色を用いたCLSM観察によるバイオフィルム形成の評価を実施することができず、次年度使用額が生じた。
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