研究課題/領域番号 |
21K19611
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
大庭 伸介 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (20466733)
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研究分担者 |
森石 武史 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (20380983)
松尾 友紀 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 技術職員 (40792601)
北條 宏徳 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 准教授 (80788422)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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キーワード | ヘリオキサンチン類縁体 / 骨 / 多能性幹細胞 |
研究実績の概要 |
研究代表者らはマウス胚性幹細胞(ES細胞)から中胚葉細胞を誘導し、続いて骨芽細胞分化を誘導する培養系をすでに開発している(Kanke K et al. Stem Cell Reports, 2014)。この系では、誘導した中胚葉系細胞をヘッジホッグシグナル活性化剤SAGとへリオキサンチン類縁体(TH)存在下で培養し、骨芽細胞へ分化させる。そこで、骨芽細胞分化誘導前の中胚葉細胞をコントロールとして用い、TH刺激前後のマイクロアレイデータを解析した。まず、へリオキサンチン類縁体(TH)刺激で発現が変動する遺伝子を同定した。発現変動遺伝子をもとに、シグナル経路・蛋白質間相互作用を予測するため、約50種のキナーゼに焦点を絞った。 続いて、標的分子予測として、標的分子が明らかな分子の構造やpharmacophoreとの類似性に基づいてTHの標的分子を予測した。構造類似性ではSimilarity ensemble approach(SEA)を、ファーマコフォア類似性ではPharmMapperを用いた。その結果、SEAでは約40種、PharmMapperでは約20種の候補を取得した。これらのリストを統合し、キナーゼに焦点をあててTHの標的分子候補の絞り込みを行った。このうちの1つのキナーゼ(キナーゼX)については、ドッキングシミュレーションを行った。その結果、既存のキナーゼX阻害剤6種と同じ部位を標的とすることで、THの阻害作用が発揮されることが予測された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りに、THの標的分子候補が取得されたため。
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今後の研究の推進方策 |
THの標的分子候補に対する作用を検証すると共に、幹細胞性維持作用と骨組織に対する治療効果の検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、in silicoでの(コンピューターを用いた)データ解析およびシミュレーションが中心であり、取得済みのデータおよび既存のプログラム、ソフトウェアを解析に用いることができたため、残額が発生した。次年度の細胞培養実験および動物実験に必要な消耗品(実験試薬・器具)の購入に充てる予定。
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