研究課題
破骨細胞は骨の維持に必須な骨吸収細胞であるが、前駆細胞の動態については良くわかっていない。この理由として、破骨細胞分化がコミットした前駆細胞 (Committed破骨前駆細胞) が同定されておらず、その性状が未解明であることが挙げられる。その解析を困難にするその要因はCommitted破骨前駆細胞を同定するツールが乏しいためであった。破骨細胞前駆細胞は、RANKLの受容体であるRANKを発現する。我々は、ビオチン化したGST-RANKLを用いることにより、破骨細胞前駆細胞を含むRANK陽性画分を高感度で検出・回収する方法を考案した。今年度は、GST-RANKL、抗B220抗体、抗CSF-1R抗体により得られた2つの画分(B220-/RANK-/CSF-1R+とB220-/RANK+CSF-1R+画分)の破骨細胞分化能をin vitro培養系により解析した。セルソーターで回収した各細胞画分に、CSF-1およびRANKLを添加し、培養1、2、3日後にTRAP陽性単核破骨細胞数を計測した。その結果、培養3日目において、B220-/RANK-/CSF-1R+画分は、B220-/RANK+CSF-1R+画分よりも有意に多いTRAP陽性単核破骨細胞数が認められた。以上より、B220-/RANK-/CSF-1R+画分は、より多くの単核破骨細胞を作り出す起源となる細胞が含まれることが示唆された。一方、破骨細胞前駆細胞は、細胞周期の停止を介して成熟破骨細胞に分化する。したがって、より少ない単核破骨細胞が認められたB220-/RANK+CSF-1R+画分は、細胞周期が停止した破骨細胞分化にコミットした前駆細胞が含まれる可能性が示唆された。
2: おおむね順調に進展している
GST-RANKL、抗B220抗体及び抗CSF-1R抗体を用いて分取したマウス骨髄細胞の破骨細胞培養系を実施し、破骨細胞前駆細胞が含まれる細胞画分を明らかにすることに成功した。
血流中の破骨細胞前駆細胞についてもGST-RANKL、抗B220抗体及び抗CSF-1R抗体を用いた細胞分取及びin vitro破骨細胞分化培養実験を実施する。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (14件) (うち招待講演 5件)
Bone
巻: 166 ページ: 116579~116579
10.1016/j.bone.2022.116579
巻: 166 ページ: 116609~116609
10.1016/j.bone.2022.116609
Scientific Reports
巻: 13 ページ: 891759
10.1038/s41598-023-30446-w
Journal of Bone and Mineral Metabolism
巻: in printing ページ: in printing
10.1007/s00774-023-01425-y
Frontiers in Physiology
10.3389/fphys.2022.891759