研究課題/領域番号 |
21K19617
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
里村 一人 鶴見大学, 歯学部, 教授 (80243715)
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研究分担者 |
徳山 麗子 鶴見大学, 歯学部, 学内講師 (20380090)
井出 信次 鶴見大学, 歯学部, 助教 (00611998)
寺田 知加 鶴見大学, 歯学部, 助教 (40460216)
竹部 祐生亮 鶴見大学, 歯学部, 助教 (50807097)
伊藤 由美 鶴見大学, 歯学部附属病院, 講師 (00176372)
舘原 誠晃 鶴見大学, 歯学部, 講師 (90380089)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 蛍光細胞診断 / 5-ALA / 口腔癌 |
研究実績の概要 |
癌の早期発見を可能とする安全、簡便、経済的かつ高感度な診断法・検出法の開発が望まれている。現在、癌の診断に用いられている細胞診断は患者の身体的負担が少なく、手技も比較的簡便であるが、いずれも細胞の形態的特徴と染色態度を基準として診断する方法であり、異常細胞における細胞内代謝変化などの機能面の評価を診断のために利用しようとする試みは未だなされていない。これまでにわれわれは、細胞の機能異常を早期に捉えることを目的に、口腔癌に対する5-ALAを用いた光線力学的診断 (ALA-PDD)の可能性につき検討を行い、簡便かつ安全で、患者負担の少ない新たな口腔癌診断法を開発し、学会等で広く報告してきている。そこで本研究では、このALA-PDDの原理を細胞診にも応用できる点に着目し、5-ALAを用いた新たな細胞診 (ALA-Cytology)を確立できる可能性について検証することを目的とした。 本年は、口腔癌細胞およびその他の各種癌細胞、さらにそれぞれの発生組織に由来する正常細胞を用いて細胞の赤色蛍光を観察し、腫瘍細胞と正常細胞間での蛍光強度差、また癌細胞の種類や細胞生物学的特徴(悪性度や分化度)による蛍光強度差について検討し、最も蛍光強度差の得られる処理条件の特定を各細胞毎に行った。 さらに細胞毎に決定された条件で処理した癌細胞を、従来の細胞診で行われている工程で処理した後、Papanicolaou染色、Giemsa染色、PAS染色、Alcian blue染色などを行い、5-ALA処理が各癌細胞の染色態度に及ぼす影響につき検討し、5-ALA処理が従来の細胞診判定や診断精度に与える影響について検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通りに進行しており、今後はさらに条件の検討を追加するとともに、各種の全身における腫瘍細胞を対象とした検討の準備、さらには組織診断との比較検討の準備が進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、他の臓器・組織に由来する癌細胞として、子宮頸癌由来HeLa細胞株およびOMC-1細胞、肺癌由来HLC-1細胞株、A549細胞株およびRERF-LC-A1細胞株、乳癌由来OCUB-1細胞株およびMDA-MB-453細胞株、膀胱癌由来T24細胞株およびMBT-2細胞株、甲状腺癌由来HTC/C3細胞株およびT3M-5細胞株も対象として、in vitroでの本法の有用性を検討する。加えて、口腔癌(あるいは上皮性異形成)を疑う口腔粘膜病変を有する患者を対象として、われわれがすでに臨床応用しているALA-PDD(前述)を施行し、赤色蛍光が認められた部位に対して細胞診を実施し、通法により塗抹標本を作成する。この標本に対して、 Papanicolaou染色実施前に蛍光顕微鏡(405nm励起)観察を行い、赤色蛍光を有する細胞を記録した後、Papanicolaou染色を行い細胞学的診断を行った後、再度蛍光顕微鏡 (405nm励起)観察を行う。一方、赤色蛍光が認められた同一部位から生検により組織を採取し、通法により病理組織学的診断を行う。これにより、同一症例において施行されたALA-cytology(Papanicolaou染色+5-ALAによる蛍光細胞診断)の診断結果と生検材料から得られた病理組織学的診断結果を比較し、1ALA-cytology結果と病理組織学的 診断結果の一致率、2Papanicolaou染色による細胞形態や染色態度のみからは診断が困難な症例における正診率の向上等について検討し、より精度の高い新たな細胞診の確立を目指す。以上の検討により、初期口腔癌(および高度上皮性異形成)を対象とし、細胞の形態学的特徴のみに依存せず、細胞内代謝異常という細胞機能を包含する新たな細胞診断、ALA-cytologyの確立を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度施行予定であった各種細胞を対象とした検討において、現在、予定通り進んでいるが、口腔癌細胞での検討結果が想定よりも進んだため、口腔癌細胞を先行して進めている。このため、他の癌細胞および正常細胞での検討が完了しておらず、これを次年度繰り越しとした。また、患者を対象とした組織診断等との比較検討についても口腔癌での結果を待って実施を予定しているため、これらも次年度繰り越しとしている。次年度はこれらの検討を行い、さらなる診断法開発のための研究を行う予定である。
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