研究課題
コロナ禍で三密を避けるため、人々の活動が制限され、経済停滞の深刻さが増しているが、三密環境中でも安全・安心でいられる高機能環境浄化デバイス市場は確実に成長することが見込まれている。特に、光触媒の分野では、可視光照射でウイルスや細菌などを高効率で分解できる光触媒が注目され、安全安心な環境づくりへの応用が期待されている。本研究は、光触媒技術を三密環境における公衆衛生の分野に展開し、新規複合材料を用いた衛生学を発展させるものである。そのために、申請者が開発した安全性と耐久性に優れた可視光を励起光源とする新規銀・リン酸銀担持TiO2光触媒と自己接着性を持つジメチルポリシロキサン高分子複合材料を用いてウイルス分解・殺菌に有効な複合型光触媒デバイスを作製し、実用化に向けて実証することを目的とする。2021年度は、本研究室が開発した可視光応答型新規光触媒材料P/Ag/Ag2O/Ag3PO4/TiO2 (PAgT) を用いて、XRD, SEM,TEM,EDS XPS,PLなど新規材料解析に欠かさない手法を駆使し、材料の特性解析を行った。その結果、開発したPAgT 新規光触媒材料は、従来の材料に比べ格段に高い光触媒活性を持つ原因は明らかになった。このような組み合わせにより、TiO2本来持つ長所を伸ばしたうえ短所を克服し、安定かつ耐久性のある高い光活性を持つことが可能になった。また、自己接着性を持つジメチルポリシロキサン高分子とPAgTの複合材料を重点的に検討し、複合材料表面の粗さと疎水性の向上より、開発した材料は安価で安定性と耐久性に優れた特性を持つことを明らかになった。この一年間の研究成果は著名国際誌5報登載、国際学会3回、国内学会8回の発表の研究実績を得られた。
1: 当初の計画以上に進展している
2021年度は、本研究室が開発した可視光応答型新規光触媒材料P/Ag/Ag2O/Ag3PO4/TiO2 (PAgT) を用いて材料の特性解析を行い、開発したPAgT 新規光触媒材料は、従来の材料に比べ格段に高い光触媒活性を持つ原因は明らかになった。また、自己接着性を持つジメチルポリシロキサン高分子とPAgTの複合材料を重点的に検討し、複合材料表面の粗さと疎水性の向上より、開発した材料は安価で安定性と耐久性に優れた特性を持つことを明らかになった。限られた予算の中、この一年間の研究成果は著名国際誌5報登載、国際学会3回、国内学会8回の発表の研究実績を得られたことは研究目的十分達成したと考えられる。
2021年度に得られた新規複合光触媒材料の特性解明と膜のコーティング条件の最適効果に関する知見を基に、グラム陽性菌 Enterococcus sp.、Staphylococcus aureusとグラム陰性菌 E. coli、Salmonellaを用いてLED照射及び暗条件における複合光触媒材料の殺菌効果を検証する。また、明条件での複合光触媒との相互作用による活性種を同定するとともに、SEM、AFMによる材料表面形状と細菌の破壊状態の観察を行い、同時にタンパク質、酵素、DNAの各分解データを分析し、複合光触媒の明・暗条件におけるウイルス分解・殺菌のメカニズムを解明する。さらに、前年度に得られた複合型光触媒材料に関する知見をもとに安価で安定性と耐久性に優れ、網状足場に固定化した複合材料を確定し、LEDと小型換気扇を装着した光触媒デバイスを作製し、このデバイスを用いて、抗ウイルス効果検証に用いられるモデル菌であるEnterococcus sp.の分解検証を行う。また、開発したデバイスの実用効果、安全性と普及性の総合評価を行う。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件)
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